〈特集図書展示No.37〉北方研究教育センター教員の著書 展示詳細

書香の森・特集図書展示の更新を行いました。
今回は文学研究院の北方研究教育センターの運営に関わる教員の著書を紹介します。

  • 展示期間: 2025年7月29日(火)〜2025年10月31日(金)

展示図書リスト

続縄文文化の資源利用

高瀬 克範 著 吉川弘文館 2022年)

〈教員コメント〉
紀元前4世紀から紀元後6世紀まで、北海道島では稲作も古墳もみられない続縄文文化が分布していました。それは、縄文文化、弥生文化、古墳文化とどのような関係にあるのでしょうか。アイヌ文化につながる北海道島の長期的な歴史のなかで、どのような意味をもっているのでしょうか。こうした問題を資源利用の観点から解明したのが本書です。
Web書香の森
高瀬 克範 教授(考古学研究室)

エスノグラフィー入門  “現場”を質的研究する

小田 博志 著 春秋社 2010年)

〈教員コメント〉
フィールドワークとは現場に身を置くことから始まります。現場での経験から言葉を紡いでいく作業を、私たち文化人類学者は続けてきました。その手づくりの方法論、エスノグラフィーを本書では解説しています。
→ 春秋社の紹介ページ 2010年版 改訂版(2023年)
小田 博志 教授(文化人類学研究室)

死者のカルシッコ フィンランドの樹木と人の人類学

田中 佑実 著 北海道大学出版会 2023年)

〈教員コメント〉
「死者の印」をもつ樹木、死者のカルシッコはフィンランドのサヴォ地方を中心にかつて盛んに作られた。死者を墓場へ帰すとされたこの樹木は、キリスト教の浸透、林業を基盤とするフィンランドの産業化、近代化による社会と人々の変容に伴いながら、死者を思い出すものへとその意味をかえ、次第に忘れ去られていった。風習が終わりつつある今、「エラマ(生)」をキーワードに、カルシッコとともに生きる家族の想いと暮らしを描く。
Web書香の森
田中 佑実 助教(文化人類学研究室)

時間軸で探る日本の鳥 復元生態学の礎

(黒沢 令子/江田 真毅 編著 久井 貴世 分担執筆 築地書館 2021年)

〈教員コメント〉
多様な専門性を持つ9名の研究者が、「鳥を巡るタイムマシンの旅に出よう」をテーマに、化石、遺伝情報、考古遺物、絵画資料、文献史料、現代の野外調査などの観点から、日本の鳥類の歴史についての知見を披露していく。
Web書香の森
久井 貴世 准教授(博物館学研究室)

ロシア・中東欧のエコクリティシズム スラヴ文学と環境問題の諸相

小椋 彩、中村 唯史 編 水声社 2025年)

〈教員コメント〉
ポーランドの炭鉱、チェコの森、ウクライナの麦畑……ロシア・中東欧の厳しくも豊かな自然は、文学や絵画でどのように描かれているのか。
国家や民族の問題が影を落とすロシア・中東欧文学を、地政学や文明論を超えたエコクリティシズムの観点から批評し、新たな読解の枠組を提示する。
Web書香の森
小椋 彩 教授(欧米文学研究室)

アイヌ語文法の基礎

佐藤 知己 著 大学書林 2008年)

〈教員コメント〉
本書はアイヌ語の初歩の教科書ですが、実地調査で得られた資料だけを用いて書かれています。また、ごく一般的な現象とそうでない現象との区別に注意が払われ、日本語とは異なるアイヌ語独自の文法現象に特に重点を置いて解説がなされている、という点に独自の特色があります。
大学書林の紹介ページ
佐藤 知己 特任教授(言語科学研究室)

日本人が知りたいロシア人の当たり前 ロシア語リーディング

(加藤 栄一 [監修]  光井 明日香、菅井 健太、グリゴリー・ミソチコ、エレオノーラ・サブリナ [著]  三修社 2019年)

〈教員コメント〉
本書は、ロシア語初級文法の知識をお持ちの読者を対象に、50のテーマと100の質問を通じて、ロシア語圏の日常生活・社会・文化について知ることに主眼を置いたリーディング教材です。ロシア語を全く理解できない方でも、日本語部分だけに目を通していただければ、異文化理解に役立つ情報を得ることができるように配慮しています。
Web書香の森
菅井 健太 准教授(言語科学研究室)

恋する人間 人文学からのアプローチ

(鈴木 幸人編著、瀧本 彩加 分担執筆 北海道大学出版会 2018年)

〈教員コメント〉
人はなぜ恋こがれるのか、を北大文学部の教員が様々な視点から眺め、論じた書籍です。なかでも、瀧本が分担執筆した章では、伴侶動物であるイヌやウマとヒトとのかかわりあいに着目し、ヒトがなぜ伴侶動物を慈しみ、彼らと絆を築いてきたのか、を論じています。
Web書香の森
瀧本 彩加 准教授(行動科学研究室)

多文化都市トロントにおける移民街の揺動
ジェントリフィケーション・私的政府BIA・ローカル政治

髙橋 昂輝 著 明石書店 2025年)

〈教員コメント〉
経済発展と多文化共生の両立は、どのように実現できるのだろうか。増大するヒトのモビリティ、新自由主義下の都市政策、そして,まちづくりの主導権を巡るローカルな政治的対立の果てに、都市とその内部に所在する移民街はいかにつくり変えられたか。カナダ・トロントの移民街の変貌過程に焦点を当て、世界有数の多文化都市の発展と内実を描出した研究書です。
Web書香の森
髙橋 昂輝 准教授(地域科学研究室)

北方研究教育センターの刊行雑誌