「日本史学研究室」「東洋史学研究室」「西洋史学研究室」「考古学研究室」から構成されています。歴史学は、いまこの世界が成り立っている所以を過去に遡って探究する学問です。また、それと同時に、現代の世界の在り方を相対化するための手がかりを過去に求めようとする学問でもあります。そしてなによりも、史資料を通して過去の人々との「対話」を楽しむ学問です。当講座は、日本はもちろんのこと世界中の幅広い地域にわたって、このような試みのための場を提供しています。
日本史学研究室
日本史学研究室は、古代・中世・近世・近現代についての、日本および中国大陸・朝鮮半島・北方地域を視野に入れた実証的研究を特徴としており、これまで多数の研究者が輩出してきました。学内には日本史分野の専門書が揃い、史料(北方史一次史料および各時代・各分野の刊本資料・復刻版等)も豊富に集積しており、研究環境に恵まれています。
研究室からのメッセージ

日本史学研究室では、研究室や演習での研究とともに、実際の史料(古文書・古記録)や史跡に触れる経験を重視してきました。北海道内では、十勝地方の豊頃町、後志地方の倶知安町、渡島地方の松前町などでの、大学院生が中心に運営し、教員や学部生も同行して行われる調査合宿が挙げられます。北海道外では、宮城県丸森町での調査合宿、奈良国立博物館での正倉院展見学などが実施されています。
実際の史料に触れることで、得られるものは少なくありません。たとえば、未整理の史料に1点1点向き合い、皆で力を合わせて目録化していくプロセスは、歴史学の重要な基礎作業で、学芸員職に就いた卒業生のなかには、その経験をもとに活躍している方も少なくありません。また、史料所在地の歴史や文化・景観に触れ、いわば現場感覚を養うことも大切です。
研究室ではこれからも、こうした姿勢を持ち続けていきたいと考えています。
教員紹介
- 川口 暁弘 教授 KAWAGUCHI Akihiro
研究分野: 日本近代史、明治憲法史 - 権 錫永 教授 KWEON Seok-Yeong
研究分野: 日本近代思想史、植民地期朝鮮文化史 - 白木沢 旭児 教授 SHIRAKIZAWA Asahiko
研究分野: 日本近現代史、日本経済史 - 谷本 晃久 教授 TANIMOTO Akihisa
研究分野: 日本近世史、北海道地域史 - 橋本 雄 教授 HASHIMOTO Yu
研究分野: 日本中世史、東アジア海域史 - 吉田 拓矢 講師 YOSHIDA Takuya
研究分野: 日本古代史、天文暦算史
主な講義題目
- 植民地朝鮮の社会と文化
- 明治憲法体制と国家の運営
- 近世蝦夷地在地社会論
- 古代法制史料の研究
- 中世日本社会論
修士・博士研究テーマ例
- 第二次世界大戦後の南サハリンにおけるソ連人と日本人との共生
- 誥命を中心とした日明外交文書の研究
- 連合艦隊論
東洋史学研究室
東洋史学研究室は、広く東洋諸地域を対象に歴史研究を行っています。地域は広大で使用する言語は多様です。漢文・現代中国語・ペルシア語・アラビア語・トルコ系諸語で書かれた膨大な史料がひっそりと皆さんの解読を待っています。縦書きや横書きで、竹簡・木簡・紙などに書かれた史料群が。
研究室からのメッセージ
中国から中東・地中海にかけての地域は、歴史上、政治・文化・経済の中心として、また多様な文明が交差する結節点として、重要な位置を占めてきました。現在では、急激な躍進を見せる中国や、紛争の続く中東など、世界の争点としてその比重を増しています。
一見しただけでは理解しにくいこうした現象は、過去からの長い時間軸と広い空間の上に置くことで、初めてその本質が見えてくるものです。時代や地域を超えて問題を深く掘り下げることは、現代社会に対する自分なりの見方を養うことにもつながります。
東洋史学研究室には、中国の古典学や辺境史、イスラーム世界とキリスト教世界の交流史などを専門とするスタッフのほか、古代文明から近現代史まで多様な関心を持つメンバーが揃い、また隣接領域である他研究室や研究所との交流も活発で、幅広い視野を持つ機会にも恵まれています。この自由な環境で、ぜひ自分の好奇心と向き合ってみてください。
教員紹介
- 佐藤 健太郎 教授 SATO Kentaro
研究分野: 中東イスラーム史(特に西地中海地域) - 吉開 将人 教授 YOSHIKAI Masato
研究分野: 中国近現代史、南中国、民族問題、学術史 - 梅村 尚樹 准教授 UMEMURA Naoki
研究分野: 宋代社会史、思想史
主な講義題目
- 宋代史料講読
- アラブ・イスラーム史研究
- 中国近代史研究
修士・博士研究テーマ例
- 「西征期」中国共産党 の経済財政政策 — 西北辦事処の文書を中心に—
- 帝国と共和国のあいだ-トルコ文学者ハリト・ズィヤ-・ウシャクルギルの回顧録より-
- 17世紀オスマン朝-ヴェネツィア間の「海賊」をめぐる海上秩序
研究室ウェブサイト
西洋史学研究室
西洋史学研究室では、古代ローマ史、中近世ドイツ史、イギリスとフランスを中心とした近現代のヨーロッパ史、アメリカ史をカバーし、それらにおける政治史、経済史、社会史、文化史の研究をしています。また、ジェンダーやナショナリズムや移民といった新たなテーマにも取り組んでいます。
研究室からのメッセージ
西洋史学研究室では、日々の講義や演習などに加えて、実際に海外に足を運んで現地の史跡や史料に触れてみることを推奨しています。毎年、学部生や大学院生が交換留学のかたちで海外での勉学の機会を利用し、また長期の休みを利用して海外での語学研修や史料調査に出かけるようになっています。これまで、ロンドン大学、オクスフォード大学、マンチェスター大学、アバディーン大学、パリ大学、ストラスブール大学、ミュンヘン大学などに多くの留学生を送ってきました。
昨今、史料のデータベースがオンライン化され、また海外の歴史学のセミナーなどもオンラインで配信されて、かつてよりもアクセスが便利になり、外国史を研究する障壁も少しづつ低くなってきたような気がします。西洋史学研究室では、そうした海外の最新の研究と繋がりながら、日本での研究をアップデートすることに取り組んでおります。本研究室からは、古代史から現代史にいたる領域で最先端の研究に携わる研究者、あるいは高校や中学で歴史教育を担う教員を卒業生として送り出しています。多くの学生諸君が、私たちの研究室を訪れてくれることを期待しております。
教員紹介
- 長谷川 貴彦 教授 HASEGAWA Takahiko
研究分野: 近現代イギリス史・歴史理論 - 松嶌 明男 教授 MATSUSHIMA Akio
研究分野: 近代フランス史 - 村田 勝幸 教授 MURATA Katsuyuki
研究分野: アメリカ史・アメリカ研究 - 山本 文彦 教授 YAMAMOTO Fumihiko
研究分野: ドイツ中世・近世史 - 砂田 徹 特任教授 SUNADA Toru
研究分野: 古代ローマ史 - 安酸 香織 講師 YASUKATA Kaori
研究分野: 近世ヨーロッパ史・アルザス地域史
主な講義題目
- 近現代ヨーロッパ史研究
- アメリカ史研究
- フランス近現代史研究
- 西洋古代史研究
- 中近世ヨーロッパ史研究
修士・博士研究テーマ例
- 道標転換運動における亡命ロシア知識人の「大国主義」思想 -1921-1924 年-
- コンスタンティヌス朝におけるローマ市首都長官ー首都長官人事と皇帝・元老院間の関係性を中心にー
- 1654年「帝国宮内法院令」をめぐる諸問題
考古学研究室
人工遺物・遺構・遺跡研究のトップランナーと、最新の考古科学を駆使する動物・植物考古学、文化財科学・年代測定の専門家により教員が構成される考古学研究室。旧石器時代〜近現代、ユーラシア大陸・日本列島〜アメリカ大陸という幅広い時期・地域をカバーする充実したスタッフが、大学院生の先端的な研究推進を支援します。
研究室からのメッセージ
大学院への進学に悩んでいる皆さん、考古学は生涯をかけて取り組む研究分野あるいは職業たりえるでしょうか。気候危機、人類集団間の地域的・経済的格差、飽くなき経済成長を目指す社会システムの限界、深刻化するこれらの諸問題に考古学は有効なのか。答えは“イエス”です。研究分野が細分化する現代の考古学にあって、人類史の探求は共通の目的です。人類史700万年のパースペクティブの中でヒト化、食料獲得から生産へ、定住・都市化、国家、産業化などのテーマを通して、これらの難問への答えを模索します。大学院修了後は、それぞれの研究成果を携えて、埋蔵文化財の専門家や自治体職員、学芸員として遺跡の整備・活用の仕事を通じて、地域の歴史を人類史として問い直す仕事が待っています。それを実現するために、考古学の基礎理論と実践、動物・植物考古学、同位体考古学、DNA考古学などの多彩な教員スタッフが、皆さんの勉強と研究をバックアップします。
教員紹介
- 江田 真毅 教授 EDA Masaki
研究分野: 動物考古学、考古鳥類学、文化財科学 - 高瀬 克範 教授 TAKASE Katsunori
研究分野: 考古学、植物考古学 - 小杉 康 特任教授 KOSUGI Yasushi
研究分野: 考古学、物質文化論、民俗誌考古学 - 國木田 大 准教授 KUNIKITA Dai
研究分野: 考古学、文化財科学 - 髙倉 純 助教 TAKAKURA Jun
研究分野: 考古学、文化財科学 - 中澤 祐一 助教 NAKAZAWA Yuichi
研究分野: 考古学、人類進化史
主な講義題目
- 先史文化の土器と社会
- 物質文化と先史社会
- 考古科学の実践
- 環境考古学と動物考古学
修士・博士研究テーマ例
- 縄文文化期から続縄文文化期における人類の自然環境への適応―石狩低地帯を中心に―
- 岩手県宮野貝塚出土動物遺存体の研究
- 埋葬環境の判別方法を用いた墓址の考古学的研究
研究室ウェブサイト