文学部の教育研究上の目的
本学部は、人類の思想、歴史、社会及び文化に対する認識を深めるため、人文科学の諸領域において専門的な教育研究を行うことにより、次代の社会を担う人材を育成することを目的とする。
(北海道大学文学部規程第1条の2)
アドミッション・ポリシー
学部の理念
北海道大学文学部は,人間と人間の営みが生み出す社会や文化の本質を探究することを基本的理念とする。文学部の使命は,現代が直面する諸問題を理解するために不可欠な人類の歴史と社会,思想と文化に対する深い認識を涵養し,国際化に直面する新しい時代を生きる次代の担い手を育成することである。
教育目標
全国屈指の多様な研究分野と豊富な教員スタッフを擁する本学部は,高等学校での学修の成果をさらに向上・発展させ,以下のような人材を育成することを目標とする。
- 本学部で重視されるあらゆる認識と表現に関する知識・技能の基礎となる「ことば」の教育をふまえ,徹底した少人数教育を通じて獲得される,個別の研究分野を深く修めた人材。
- 分野を横断して総合的に学びながら思考力・判断力・表現力等の能力を涵養し,主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ姿勢を重んじつつ,現代社会のさまざまな問題に批判的な視点をもって取り組むことができる人材。
求める学生像
北海道大学文学部は,学部の理念ならびに教育目標を十分理解した,以下のような資質を備えた学生を求める。
- 人間社会の多様な営みに対して旺盛な知的好奇心をもっている学生。
- 自ら目的意識をもって計画的に勉学に取り組むことのできる学生。
- 地域社会や国際社会のなかで率先して自己の能力を役立てたいと考えている学生。
そのために,入学希望者に対しては,以下の点を入学前に身につけておくことを期待する。
- (知識・技能)高等学校の教育課程の教科・科目の習得により身につけられる総合的な基礎学力。ならびに,獲得された基礎学力を幅広く応用する能力。
- (思考力・判断力・表現力)現代が直面する諸問題に目を向け,深く理解し,考えることのできる能力。ならびに,それを自らの「ことば」によって表現できる能力。
- (主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)人間社会の多様な営みに関心を持ち,さまざまな意見に耳を傾け,主体性を持ちながら,総合的に学びを深めていく姿勢。
入学試験においては,上記の3項目の力や関心が培われているかを評価する。(選抜の方法・評価の比重については別表を参照)
入学者選抜の基本方針
1.一般選抜(前期日程・学部別入試)
大学入学共通テストによって高等学校の教育課程における教科・科目に関する知識・技能についての基礎的な学力を評価するとともに,個別学力検査では入学後の修学に関連する教科・科目に関する知識・技能ならびに思考力・判断力・表現力等について,より深く学力を評価する。(詳細は募集要項を参照)
2.一般選抜(後期日程)
大学入学共通テストによって高等学校の教育課程における教科・科目に関する知識・技能についての基礎的学力を評価するとともに,個別学力検査では小論文を課し,人文科学を学ぶ上で必要な発想力・思考力・判断力・表現力ならびに主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度について評価する。(詳細は募集要項を参照)
3.帰国生徒選抜
第1次選考では出願書類のうち,資格・成績証明書等によって入学後の修学に必要な中等教育程度の知識・技能に関する基礎的な学力を,推薦書・自己推薦書・諸活動の記録によって思考力・判断力・表現力ならびに主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度について,それぞれ評価する。そのうえで,第2次選考では課題論文によって読解力・論理的思考力・問題発見能力・表現力等を,面接によって人間や人間の社会・文化・歴史に対する知的関心の度合い,学ぶことに対する目的意識・意欲,ならびに表現力等を,それぞれ評価する。(詳細は募集要項を参照)
4.私費外国人留学生入試
第1次選考では出願書類によって入学後の修学に必要な中等教育程度の知識・技能に関する基礎的な学力を評価する。そのうえで,第2次選考では日本留学試験の受験を要する科目等,TOEFL-iBT,ならびに小論文によって人文科学を学ぶ上で必要な知識・技能および発想力・思考力・判断力・表現力等を,これに加え面接によって主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度を,それぞれ評価する。(詳細は募集要項を参照)
別表:入学者選抜方法(評価方法の比重)
選抜方法 | 重点評価項目 | ||
知識・技能 | 思考力・判断力・表現力 | 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度 | |
大学入学共通テスト | |||
一般選抜(前期) | ◎ | ○ | |
一般選抜(後期) | ◎ | ○ | |
個別学力検査等 | |||
一般選抜(前期) | ○ | ◎ | |
一般選抜(後期) | ◎ | ○ | |
調査書 | |||
一般選抜(前期) | ○ | ||
一般選抜(後期) | ○ | ||
成績証明書 | |||
帰国生徒選抜 | ○ | ||
私費外国人留学生入試 | ○ | ||
推薦書,自己推薦書,諸活動の記録 | |||
帰国生徒選抜 | ○ | ○ | |
資格・検定試験の結果等 | |||
帰国生徒選抜 | ◎ | ○ | |
私費外国人留学生入試 | ◎ | ○ | |
小論文・課題論文 | |||
帰国生徒選抜 | ○ | ◎ | |
私費外国人留学生入試 | ○ | ◎ | |
面接 | |||
帰国生徒選抜 | ○ | ◎ | |
私費外国人留学生入試 | ○ | ◎ |
カリキュラム・ポリシー
文学部の教育課程編成・実施の方針
文学部では、⑴国際化に直面する新しい時代を生き、その担い手となるに必要な市民的教養を育成し、⑵現代が直面する諸問題を理解するために不可欠な、人類の歴史、社会、文化及び思想に対する深い認識を育成するという教育目標を達成するために、人文科学科を設置し、履修上の区分として、哲学・文化学コース、歴史学・人類学コース、言語・文学コース、人間科学コースを設けています。人文科学科では、全学共通の「全学教育科目」と体系的に配置された「専門科目」をもって、4年間の学士課程における教育課程を編成します。
本学部の専門科目については、教育課程編成・実施の方針を定め、育成する人材像に沿ったカリキュラムを編成し、実施します。
また,学修成果の評価の方針を,次のとおり定めています。
学修成果の評価の方針
I. 成績評価の基準
- 成績評価は,本学部の学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)に掲げる人文科学科の学位授与水準を踏まえ,授業科目ごとに授業担当教員が具体的な「到達目標」を設定し,履修者の「学修成果の質」(達成度)に応じて行うこととする。
- 授業担当教員は,成績評価の結果をみた上で,設定した「到達目標」が妥当であったかどうかの検討を各自の責任において行う。また,授業科目ごとに,「到達目標」の適切性について成績評価の結果等により教務委員会で検証し,必要に応じて担当教員に「到達目標」の再検討を依頼する。
- (相対評価的な要素が必要な科目の場合)
「A+」及び「A」は5~20%,「A-」及び「B+」は20~40%,「B」及び「B-」は30~50%,「C+」及び「C」は10~20%を成績分布の目安として評価する。なお,履修者が少人数の場合はこの限りではない。 - (絶対評価的な要素が必要な科目の場合)
それぞれの授業に応じた具体的な「到達目標」を定め,達成度に応じて評価することとし,成績分布の目安は示さない。
II.成績評価の方法
- 成績評価は,試験,レポート,小テスト,プレゼンテーション,学修態度等により行う。
- 授業への出欠状況を単に点数化し,評価に用いることはしない。
- 具体的な評価方法は,授業担当教員が定める。
人文科学科の教育課程編成・実施の方針
文学部人文科学科では、学位授与水準に定めた能力を持つ人材を育成することを目標として、以下のとおりカリキュラムを編成し、実施します。
- 主に1年次学生を対象とする全学教育科目では、専攻する分野にかかわらず、本学の学生であれば当然身につけておかなければならない共通の素養として、高いコミュニケーション能力、人間や社会の多様性への理解、独創的かつ批判的に考える能力、社会的な責任と倫理を身につけることを目的として、カリキュラムを編成します。具体的には「一般教育演習」、「総合科目」、「主題別科目」、「外国語科目」、「外国語演習」、「共通科目」に区分される教養科目(コアカリキュラム)を開講します。また、専門科目を学ぶ心構え、基礎知識を身につけることができるように、基礎科目を開講します。
- 2年次以降では、人文科学に関する専門性を身につけるため、学部専門科目を開講します。
- 2年次では、各自が専攻する分野への導入として概論・概説科目を配置するとともに、講義科目、演習科目を開講します。
- 3年次以降では、さらに専門性を高めた講義科目、演習科目を通して文献読解能力、批判的思考法、調査・研究能力を深め、卒業論文に備えるようにします。
- 4年次においてはこれまでの学習の集大成として卒業論文が必修科目として課され、指導教員の指導のもとで計画的に研究・執筆がすすめられます。
アセスメント・ポリシー
平成30年12月14日
目的
(1)文学部では「北海道大学アセスメント・ポリシー」に基づき,学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)で示された教育目標への到達度を高めるために教学アセスメントを実施する。
実施体制
(2)文学部の教学アセスメント実施責任者は,学部長とする。
(3)文学部の教学アセスメントは,文学部教務委員会において実施する。
実施及び分析
(4)文学部の教学アセスメントは,別に定める文学部アセスメント・チェックリストにより実施する。
(5)評価結果を参考とした教育改革の内容は,積極的に公表する。
(6)教学データの取り扱いについては,本学の関係規程等を遵守し,個人情報等の保護につとめる。
ディプロマ・ポリシー
文学部の学位授与の方針
文学部では、本学の4つの基本理念(フロンティア精神、国際性の涵養、全人教育、実学の重視)の下、以下のように教育目標を定めます。人間のあらゆる認識と表現の根幹である「ことば」の教育に力を尽くすことによって、⑴国際化に直面する新しい時代を生き、その担い手となるに必要な市民的教養を育成し、⑵現代が直面する諸問題を理解するために不可欠な、人類の歴史、社会、文化及び思想に対する深い認識を育成すること。
文学部では人文科学科を置き、この目標とする人材像に求められる具体的な能力(学位授与水準)を定め、当該能力を身につけ、かつ、所定の単位を修得した学生に学士の学位を授与します。
人文科学科の学位授与水準
人文科学科では、上に掲げた人材を養成することを目標としており、次の能力をもつと認められる学生に対し、学士の学位を授与します。
知識・理解
- 専門分野に関して十分な学識を身につけるとともに、「人間とは何か」の観点から、人類の歴史、社会、文化及び思想に関して幅広い関心を持ち、知識を修得することができる。
- 修得した知識を手段として、自己および自己を取り巻く環境が直面する問題を的確に理解し、対処することができる。
汎用的技能
- 日本語ないし外国語を用いて、文献・資料を正確かつ批判的に読み解き、要点をつかむことができる。
- 日本語ないし外国語を用いて、自分の主張をまとめ、口頭または文章にて論理的かつわかりやすく提示することができる。
- 情報通信技術を活用し、多様な情報を収集、選別し、問題解決に役立てることができる。
態度・志向性
- 人間の多様性を認め、自分とは意見を異にする他者の主張に耳を傾け、理解に努めるとともに、自分の立場を明晰に説明できる。
- 市民として、他者と協調しながら、社会をよりよいものとしていくために積極的に関与できる。
- 生涯にわたってさまざまな事柄に関心を向け、学び続けることができる。