アイヌ先住民学講座

世界には70カ国以上の国におよそ5000の先住民族が暮らしています。先住民学は、ほかの学問領域と比べると比較的新しい研究領域ですが、研究課題は幅広く、先住民族を取り巻く文化資源、生活環境、経済社会開発など様々な課題が含まれます。研究の手法も課題ごとにそれぞれ独自の手法が必要であり、多角的な検討が求められます。アイヌ・先住民学講座では、歴史学・言語学・文化人類学・博物館学・法学・考古学の教員が研究しており、アイヌ民族と世界の先住民族に関する研究を領域横断的に学ぶことができます。

アイヌ・先住民学研究室

アイヌ・先住民学研究室では、文化資源、生活環境、経済社会開発など、先住民族を取り巻く様々な課題の研究を行います。歴史学・言語学・文化人類学・博物館学・法学・考古学の視点からアイヌ・先住民学を体系的に学ぶための指導体制を整えています。

研究室からのメッセージ

アイヌ民族をはじめとする先住民族は、近代国家のもとで不公正な歴史を経験してきました。先住民族の現状は、近代国家の政策や、近代学問の偏見などがもたらしたものであり、民族的マジョリティもこの点に責任を有しています。先住民族の境遇を改善し、解決する道をさぐることは、現在・未来の社会を生きるすべての人々にとって重要な課題です。

アイヌ・先住民学講座は、文学院の一講座であるとともに、2007年に設置されたアイヌ・先住民研究センターの教育組織でもあります。センターは、2020年に国立アイヌ民族博物館(白老町)と研究協定を結び、2021年には、国際的な先住民研究の拠点である「先住民・文化的多様性研究グローバルステーション」も開設されます。充実した研究環境のなかで、アイヌ民族、先住民族、文化的多様性に関する深い知識と思考力を身につけ、現在・未来の社会で活躍できる人材を育成します。

教員紹介

  • 加藤 博文 教授 KATO Hirofumi
    研究分野: 先住民考古学、先住民文化遺産、シベリア人類史
  • 北原 モコットゥナㇱ 教授 KITAHARA Mokottunas
    研究分野: アイヌ民族の宗教、アイヌ語、口承文芸
  • 山崎 幸治 教授 YAMASAKI Koji
    研究分野: アイヌ物質文化、文化人類学、博物館学
  • 石原 真衣 准教授 ISHIHARA Mai
    研究分野: 文化人類学、先住民研究
  • 落合 研一 准教授 OCHIAI Ken-ichi
    研究分野: 先住民法学、憲法学
  • 丹菊 逸治 准教授 TANGIKU Itsuji
    研究分野: 口承文芸論、アイヌ語、ニヴフ語
  • 蓑島 栄紀 准教授 MINOSHIMA Hideki
    研究分野: アイヌ史、北東アジア史、日本古代史
主な講義題目
  • アイヌ・先住民政策史
  • 先住民族の言語と文化
  • アイヌ・北方先住民族史
  • 先住民と交差性(インターセクショナリティ)
  • 先住民族と文化資源
  • アイヌ・先住民学総論
  • 国際先住民学演習
修士・博士研究テーマ例
  • Rethinking of Microblade Adaptation on Hokkaido Island: On the basis of Oshorokko type and Tougeshita type microblade cores assemblages
  • アイヌ文化における怪談としての妖刀伝承―日中との比較から―
  • アイヌ文化とアイヌ文化財制度の研究―台湾先住民族文化財との事例比較―