文学部への誘い

北海道大学文学部でなにを学ぶか、あるいは学ぶことができるのか。学部には学科があるものですが、北大文学部には「人文科学科」というひとつの学科が置かれています。人文科学とは耳慣れないかもしれませんが、一般的な学問分野を示す「科学」の概念である、人文科学、社会科学(法律や政治・経済)、自然科学(いわゆる理系)のうちのひとつです。

つまり、北大文学部で学ぶことができるのは、狭い意味での「文学」だけではありません。文学部人文科学科には「哲学・文化学」、「歴史学・人類学」、「言語・文学」、「人間科学」の4つのコースに18の研究室が置かれ、約90名の教員を擁し、約630名の学生が学んでいます。高校の教科科目にある、国語や英語、地理歴史や倫理といった領域のほかに、宗教学、博物館学、心理学、行動科学、各種の言語・文学など、大学ではじめて接する学問領域にも学びの窓口は広がっています。詳細は、ぜひウェブサイトをご覧になってください。みなさんの関心に響く、研究室や教員との出会いが、きっとあるはずです。

文学部の1階ホールには、「書香の森」という図書スペースがあります。そこにぎっしりと収められている本はすべて、文学部の教員がおもに執筆または編集にあたった書籍です。北大文学部の学生は、ここに並べられている本の著者たちと日々対話をし、講義やゼミナールで研究指導を直接受けることができるわけです。

小学校では「児童」、中高では「生徒」だったみなさんは、大学では「学生」となります。それまで教科書を学ぶことが大切だった環境は、大学1年次の全学教育での助走を経て、2年次以降、学部で本格的な学問の世界に接し、「学生」として主体的に自らの学びを組み立て推進していくことになります。一線の研究者でもある教員は、卒業まで常にみなさんの学びに伴走します。希望する学生には、海外留学の制度も整えられています。

卒業は、国際標準の学位である学士の称号が授与されることを意味します。それには卒業論文等が課されます。冒頭にお示しした「科学」の水準に照らして進められる、客観性やオリジナリティを担保し説得的な叙述の工夫を凝らした論文執筆の経験は、学窓を出て社会人となってからも、さまざまな仕事に役立ったという卒業生の声は少なくありません。大学院へ進学し、研究をさらに続ける途を選んだ方は、その経験が深められていくわけで、志望者にはそれを前提とした指導を学部時代から受ける環境も整えられています。

四季折々に美しい表情を見せる広大なキャンパスで過ごす北大文学部での日々。ぜひみなさんと一緒に、多彩で豊かな学びを進めていくことを、期待しています。

 

北海道大学文学部長
谷本 晃久 たにもと あきひさ