高瀬 克範

プロフィール

高瀬 克範 教授 / TAKASE Katsunori
研究内容

弥生文化・続縄文文化の考古学、千島アイヌ史の考古学的研究、日本列島の植物考古学、皮革資源利用の広域比較、北太平洋の古生態系復元

研究分野
考古学、植物考古学
キーワード
初期農耕社会、資源利用、実験考古学、石器使用痕分析、レプリカ法
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/歴史学分野/考古学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/歴史学講座/考古学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/歴史学・人類学コース/考古学研究室
連絡先

Email: takase*let.hokudai.ac.jp 
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Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
考古学研究室高瀬 克範 教授

モノの「声」を聞く考古学
科学的な観察手法も日進月歩

土器が製作される過程でイネやアワの籾殻が付着すると、野焼きの際に籾殻自体が消滅してもその「圧痕」が土器に残ります。土器の年代がわかれば当時の食生活も明らかになるため、非常に有力な手がかりとして今、注目を集めています。圧痕から対象物のレプリカを作る材料も、油粘土や石膏から現在のシリコンへと科学的な日進月歩が続いています。書き手の視点を含む文献史料とは異なり、モノは人々が生活した痕跡そのもの。誰の視点も介在しない公平な一次資料です。そこから何を聞き出すかは研究者の「語りかけ」次第。自分なりのアプローチを考えながら、教科書的な歴史観ではくくれない世界の存在を明らかにしていきます。

2005年青森県むつ市江豚沢での調査風景
土器の表面に残るイネ籾痕跡の顕微鏡写真

新技術の導入をためらわない
将来生かされる「技術移転」

考古学研究者に「これだけをやっていればいい」はありません。調査分析の方法を日々進化させ、現場にフィードバックしては、さらにいい方法がないかを考える、その繰り返し。そのためには院生であるうちに新技術に挑み続ける姿勢を身につけることが非常に重要です。私も自分の知識や技術を惜しまずかつすみやかに「技術移転」する心構えで、皆さんを待っています。細かい作業も一度経験しておけば、いつかその手法を活用してみたくなったときに二の足を踏まずに取り組めるはず。未経験からくる躊躇がなくなります。北海道大学の適度な少人数制教育は、実に考古学向き。教員と学生の距離を近づけ、細やかな実践指導を可能にしてくれます。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

考古学は、文書ではなく、モノ(物質資料)を用いる歴史学です。モノの研究とは、すなわちモノとの「対話」です。文書とは違って、遺物・遺構・遺跡が過去の出来事を自ら雄弁に語ることはありませんが、実は私たちが正しく問いかけることでそれまで誰も知らなかった人類の過去に関する事実を教えてくれるのです。モノとの「対話」に必要となるのが考古学の方法論であり、これは大学でしっかり学ばないと使いこなすことができるようになりません。わたしの主なフィールドは残されている文書史料が少ない北日本や東北シベリアですが、この地域では文字記録がなくても歴史を解明できるという考古学の長所を存分に活かすことができます。また、考古学で扱うモノは当時の実物資料であることから、遺跡から出土した動物・植物遺存体は人類の資源利用だけでなく、それら生物の歴史のあゆみ(分布や回遊行動など)や生態系(海の生産性など)の変化をさぐるためにも役立ちます。考古学を学ぶことで、人類と生物・生態系の長期的歴史の解明にぜひ貢献してください。

研究活動

略歴

札幌南高卒、北海道大学文学部卒、同大学院博士課程修了、博士(文学)。岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センター文化財調査員、東京都立大学人文学部助手、明治大学文学部准教授、北海道大学大学院文学研究科准教授を経て、2021年より現職。

主要業績

主要論文
  • Takase, K. 2020 Long-term marine resource use in Hokkaido, Northern Japan: new insights into sea mammal hunting and fishing, World Archaeology 51(3):408-428.
  • Gjesfjeld, E., M. A. Etnier, K. Takase, W. A. Brown and B. Fitzhugh 2020 Biogeography and adaptation in the Kuril Islands, Northeast Asia, World Archaeology 51(3):429-453.
  • Takase, K. 2020 Time period determination of the Kuril Ainu’s major withdrawal from Kamchatka, Japanese Journal of Archaeology 8(1):3-24.
  • 高瀬克範2021「北海道東北部におけるオホーツク文化の石器利用−礼文町香深井1遺跡出土石器の使用痕分析−」『考古学研究』68(2):43-61.
  • 高瀬克範2021「狩猟採集社会における有力者の権能−北海道島の事例−」『考古学研究』68(3):36-50.
  • 高瀬克範2022「マメ科の人類生態学・歴史生態学」『植生史研究』31(1-2):43-57.
  • Fitzhugh, B., W. A. Brown, N. Misarti, K. Takase, and A. H. Tremayne 2022 Human paleodemography and paleoecology of the North Pacific Rim from the Mid to Late Holocene, Quaternary Research 108:123–149.
著書

所属学会

  • 日本考古学協会
  • 考古学研究会
  • 日本第四紀学会
  • 日本植生史学会
  • 物質文化研究会
  • 北海道考古学会
  • 岩手考古学会
  • 北大史学会
  • Society for American Archaeology

教育活動

授業担当(文学部)

  • 考古学概論
  • 考古学
  • 考古学演習
  • 考古学実習

授業担当(文学院)

  • 研究倫理・論文指導特殊講義
  • 考古学特殊講義
  • 北方考古学特別演習
  • 考古学特別実習

授業担当(全学教育)

  • 歴史の視座
  • 歴史の視座(論文指導)

おすすめの本

  • 『北槎聞略』桂川甫周(岩波書店)
    大黒屋光太夫の漂流記。18世紀後半のシベリア先住民,ロシア人についての物質文化をふくむ貴重な記録。