文学院への誘い

北海道大学大学院文学院は,前身の文学研究科の蓄積を着実に継承しつつ,加えて新たな学問領域も担うことを目指した,北の大地における人文科学の研究教育拠点です。従来の4専攻を統合再編し,人文学専攻と人間科学専攻の2専攻体制に変えることで,新たな研究領域を創設するとともに,分野間の垣根を越えた研究教育がしやすくなるように生まれ変わりました。

北大文学院の大きな特徴は,思想・歴史・文学などの人文学に属する分野と,心理学・社会学などの人間科学と呼ばれる領域に含まれる分野が,お互いに結びつきながら研究教育が行われているという点です。専門とする分野の高度な教育を享受しつつ,他の専攻に属する分野の授業を受けることにより,自身の研究をより俯瞰的,客観的にとらえることができます。二つの領域が一つの場で共生することによって,新たな可能性の揺籃たることを目指しているのです。

これからの大学院教育で求められるのは,専門分野に関する深い見識を備えると同時に,専門分野以外にも広がりをもつ創造的な視点を育んでいくことです。こういった要請に応えるべく,修士課程では大学院としては異色の必修講義科目を設置し,分野横断的な観点から現代社会における諸問題を考察する姿勢を養えるようなカリキュラムを用意しています。また,文学院は北大の他の組織と連携して,今までにはなかった斬新な教育プログラムや取り組みに積極的に関わっています。文系・理系という古い垣根にこだわらない先進的な教育を展開することによって,多角的な視野をもって専門的研究に取り組む研究者を養成します。

さらに,複雑さを極めるこれからの社会において,大学院で行われる高いレベルの教育を受けた人材が様々な分野で必要となってくることに疑いはありません。アカデミックな分野の研究者だけではなく,民間企業や官公庁,教育分野などで活躍する人材を育成することが,大学院の社会的役割として急務となっていると言えます。このような時代的要請に応えるため,「教養深化プログラム」というまったく新しい学びの場を提供しています。諸課題を解決していく上で不可欠な思考力や,自分のアイディアを他の人にわかりやすく提示し,社会に実現していくスキルや能力を身につける貴重な機会となるはずです。

文学院では,大学院生のみなさんが確実に論文や研究課題を完成させることができるように,きめの細かいカリキュラムが整えられています。美しい環境に囲まれた北大文学院で,汲み尽くすことのできない学問という奥深い世界に浸りながら,自らの人間性と教養を磨き,人間文化を継承していく一員となってみませんか。

北海道大学文学部長・文学院長・文学研究院長
藤田 健 ふじた たけし