村田 勝幸

プロフィール

村田 勝幸 教授 / MURATA Katsuyuki
研究内容

20世紀後半以降のアメリカ社会を対象に、移民(史)、人種主義、エスニシティ、ナショナリティ(およびトランスナショナリティ)、都市空間などに注目して実証研究を行っている。

研究分野
アメリカ史、アメリカ研究
キーワード
20世紀米国史、アメリカ文化、人種民族関係
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/歴史学分野/西洋史学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/歴史学講座/西洋史学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/歴史学・人類学コース/西洋史学研究室
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
西洋史学研究室村田 勝幸 教授

オバマフィーバーが伝える
歴史の声に耳を澄ませよう

2009年1月のオバマ大統領の就任スピーチを聞いて黒人の中年女性が流した涙にはどんな意味があるのでしょうか。遠く遡ると奴隷制や人種差別・暴力など黒人社会に綿々と受け継がれてきた”集合的記憶”が彼女個人の涙の中に結晶化していたわけです。

私のゼミでは、このようにアメリカに関わるさまざまな事柄を〈アメリカン・スタディーズ〉の枠組みで歴史的に位置づけ、政治・経済・文化などさまざまな角度からのアプローチを試みています。日本に多くの影響をもたらしているアメリカを好き嫌いの尺度で決めつけず、その先に踏み込むことで新たな世界観が立ち上がることでしょう。

店頭ではオバマTシャツが販売され、チャイナタウンは活気に満ちている。アメリカ出張時に村田教授が撮影

好奇心の泉を枯らさない
問いかけのバトンリレー

オバマは面白かった2018年の映画として、「ブラック・クランズマン」や「ブラックパンサー」とともに是枝裕和監督の「万引き家族」を挙げていました。関心の広さと思考の柔軟性にとても驚きました。音楽や映画、ファッションなど関心を持つ入り口はどこからでもいいのです。好奇心の泉を枯らさずに、自分の中に生まれた問いかけを豊かに育んでいってください。いい問いかけとは、バトンのようなもの。歴史の流れの中で前後の問いかけとリンクする広がりを持っています。

私自身、まだ知りたいことは山ほどあります。みなさんとは共に勉強する研究者同士というフラットな立場で北大での日々を過ごしていきたいですね。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

私は20世紀終盤から現在までのアメリカを対象に、警察による人種主義的暴力や、「監獄国家(carceral state)」という語で象徴されている、非白人 —— 近年、移民や難民も多い —— の大規模収監の問題などに関して歴史学の立場から研究を進めています。

おそらく一般的な「歴史学」の基準からすれば現在に近すぎて「それが歴史学?」と思われることでしょう。ですが、判断の基準を「歴史的な思考方法(historical way of thinking)」というところにおけば、たとえ現在の事柄であっても歴史学の対象となりうることがわかります。さらに通説的な見方を別の角度から再検討してみると、アメリカ(史)研究という世界が「アメリカ」という空間の内側で完結するという考えも非常に怪しいということが見えてきます。

そもそもアメリカ的な特殊性や独自性は他との比較抜きにどうして可能となるのでしょうか。さらには、アメリカを「他所」、アメリカ人を「他者」と前提する「ここ」「わたしたち」はどうして存立可能なのでしょうか。アメリカを通して様々な事を考えること。中心的な狙いは一言で言えばそれに尽きます。思考が柔軟で何事にも好奇心旺盛な学生を待っています。

研究活動

略歴

東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)

主要業績

所属学会

  • 日本アメリカ学会
  • 日本アメリカ史学会
  • American Studies Association

教育活動

授業担当(文学部)

  • 歴史文化論演習

授業担当(文学院)

  • 西洋史学特殊講義
  • 西洋史学特別演習

授業担当(全学教育)

  • 歴史の視座

おすすめの本

  • 『ゲットーを捏造する』ロビン・D・G・ケリー(彩流社)
    ヒップホップから新自由主義(批判)まで、クールな研究者がヒップなタッチで縦横無尽に切りまくります。ただ、一見取っつきやすいですが決して易しい本ではありません。