プロフィール
- 研究内容
中世後期・近世ヨーロッパにおける政治秩序の研究。主たるフィールドはアルザスとライン上流域。
- 研究分野
- 近世ヨーロッパ史、アルザス地域史
- キーワード
- 境界域、神聖ローマ帝国、フランス王国、紛争と秩序、空間論
- 文学研究院 所属部門/分野/研究室
- 人文学部門/歴史学分野/西洋史学研究室
- 文学院 担当専攻/講座/研究室
- 人文学専攻/歴史学講座/西洋史学研究室
- 文学部 担当コース/研究室
- 人文科学科/歴史学・人類学コース/西洋史学研究室
- 連絡先
研究室: 304
Email: aqh06207*elms.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。- 関連リンク
Lab.letters
ドイツ・フランス・スイスが交わる
注目の「ライン上流域」
ライン川を挟み、東にドイツを望むフランス北東部のアルザス地域史研究において、近年、ライン川を単に両国の境界線と見るのではなく、両岸を含めた境界域として捉える「ライン上流域」という新しい視角が注目されています。その中でも私は中近世の紛争・係争に焦点を当て、例えば経済的にも重要なライン川の航行に関する権利をめぐり、対立・妥協・調和を繰り返しながら柔軟な紛争解決を図る境界域の秩序を明らかにしようとしています。中近世ドイツ帝国(神聖ローマ帝国)とフランス王国にまたがるアルザス史は、スイス盟約者団を含めるとさらに複雑な様相を呈しますが、その重層的な秩序をフランス語・ドイツ語・ラテン語の史料を用いて少しずつ解きほぐしています。
自分の中に生まれた関心を
問いかけにしてアウトプット
私は学部1年時に山本文彦先生の神聖ローマ帝国史の授業を聞いて歴史学の面白さに魅せられ、現在に至ります。もともと歴史が得意なわけではなかったのですが、だからこそ新鮮な視点で研究を続けてこられたように感じています。歴史学は現在から過去に問いかけ、史料を介して過去との対話を繰り返す学問です。先行研究の内容をインプットするだけでなく、それらを批判的に読み、自分の中に生まれた関心や違和感を学術的な問いかけとしてアウトプットする力が非常に重要です。時には学外の文献・史料にもあたり、膨大なデータを整理していくと「問い」の解像度はさらに上がり、その先に見えてくる自分だけの発見が、大きな喜びとともに皆さんを待っています。
(聞き手・構成 佐藤優子)
メッセージ
皆さんは、歴史を学ぶことや研究することにどのような意義があると思いますか? 答えは色々でしょうが、私自身は「過去から現在までの変化の道筋を学び、現在をより良く理解すること」に加えて、「時空を超えた異文化を学び、自己と他者を理解する力を養うこと」をとくに重視して研究・教育を行っています。ゼミでは、ドイツ語を中心とする諸言語の文献・史料の講読を通して、中近世ヨーロッパに生きた人々と彼らの文化について考察を深めていきます。
西洋史学研究室では、そうした学びを通して「いま・ここ・わたし」という小さな世界から抜け出していく学生・院生たちが、「常識」にとらわれない自由な議論や活発な研究活動を日々展開しています。皆さんがその仲間に加わってくれることを、心からお待ちしています。
研究活動
略歴
2013年、北海道大学文学部卒業。2019年、北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)取得。日本大学国際関係学部助教を経て、2023年4月より現職。
主要業績
所属学会
- 史学会
- 西洋史学会
- 北大史学会
- 法制史学会
- 日仏歴史学会
- 西洋史研究会
教育活動
授業担当(文学部)
- 西洋史学演習
授業担当(文学院)
- 西洋史学特殊講義
- 西洋史学特別演習
おすすめの本
- 『動物裁判―西欧中世・正義のコスモス』・池上俊一・講談社
中近世ヨーロッパにおける動物裁判を題材に、「時空を超えた異文化理解」という歴史学の醍醐味を味わえる一冊。