プロフィール
- 研究内容
古代ローマ帝国の統治構造について、皇帝権力とイタリア地方都市の関係に着目しながら研究しています。
- 研究分野
- 西洋古代史、古代ローマ史
- キーワード
- 古代ローマ、イタリア、ラテン語碑文、都市自治、官僚制
- 文学研究院 所属部門/分野/研究室
- 人文学部門/歴史学分野/西洋史学研究室
- 文学院 担当専攻/講座/研究室
- 人文学専攻/歴史学講座/西洋史学研究室
- 文学部 担当コース/研究室
- 人文科学科/歴史学・人類学コース/西洋史学研究室
- 関連リンク
Lab.letters

2世紀の碑文に刻まれた
古代ローマ版「こども手当」
古代ローマ帝国には皇帝が今でいうこども義援基金を地方都市に設け、その出資金を土地所有者に貸し付けて得た利子収入を市民の少年少女に給付する「アリメンタ制度」がありました。当時まだ国家に利他的な福祉の概念はなかったので、いかなる目的から皇帝がこのアリメンタ制度を実施したのか、また、地方都市の市民にとってこの制度にどのような意味があったのかを探る必要があります。貸付相手や金額等が記されている「アリメンタ碑文」も残されており、制度の実態を読み解く手がかりになります。史料のなかに眠る新しい史実を掘り起こし、自分の常識が壊されていく楽しさが、次の研究へと駆り立ててくれます。
真偽を見極めるリテラシーと
他者理解が歴史を学ぶ学生の長所に
北海道大学の西洋史学研究室は多人数の教員による手厚い指導が特徴です。留学や博士論文の書籍化を支援してくれる制度も充実しており、キャリアの糸口を開いてくれます。歴史学はラテン語などの語学をはじめ、政治学や経済学、社会学等様々な興味関心を受け止めてくれる学問です。そうした多彩な学びを通して皆さんに身につけてほしいのは、情報の真偽を見極めるリテラシーです。また、歴史という日常とは異なる時間軸やスケール感で人の営みを考えることによって、多様なバックグラウンドを持つ他者への理解が深まります。私も現代を生き抜くためのリテラシーと他者理解が歴史を学ぶ学生の長所となるよう指導していければと思っています。
(聞き手・構成 佐藤優子)
メッセージ
私は、恩師の指導もあって、ラテン語碑文をおもな史資料として古代ローマ史を研究しています。北大の西洋史学研究室には、『ラテン碑文集成』(Corpus Inscriptionum Latinarum)という浩瀚な史料があり、その他にも碑文に関する基礎史料が取り揃えられています。また附属図書館には、西洋古代史に関する様々な史料や研究文献があるほか、文学や哲学、法学など関連する蔵書も充実しています。また、文献史学といえども現地調査は重要ですが、私が学生の頃に比べると北大の留学制度も整備されていますので、その折に調査の機会を得ることも可能でしょう。
大学院に関していえば、自分のペースで研究できる環境にあることが北大の文学院の長所のひとつだと考えています。卒論に取り組んで、もう少し勉強を続けてみたいと思ったら、大学院への進学を考えてみてはいかがでしょうか。
研究活動
略歴
北海道大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学、博士(文学)取得。別府大学文学部准教授、教授を経て、2025年4月より現職。
主要業績
- 飯坂晃治『ローマ帝国の統治構造──皇帝権力とイタリア都市』北海道大学出版会、2014年(単著)
- 高橋進・村上義和編著『イタリアの歴史を知るための50章』明石書店、2017年(共著)
- 櫻井義秀・平藤喜久子編著『よくわかる宗教学』ミネルヴァ書房、2015年(共著)
所属学会
- 日本西洋古典学会
- 歴史学研究会
- 史学会
- 九州西洋史学会
- 古代世界研究会
教育活動
授業担当(文学部)
- 西洋史学概論
- 西洋史学
- 西洋史学演習
授業担当(文学院)
- 西洋史学特殊講義
- 西洋史学特別演習
授業担当(全学教育)
- 歴史の視座
おすすめの本
- 南川高志『海のかなたのローマ帝国 増補新版』(岩波書店、2015年)
古代のイギリスという視点から、ローマ帝国の支配や「帝国」に対する近代人の見方について再考する良書です。