錫永

プロフィール

権 錫永 教授 / KWEON Seok-Yeong
研究内容
  1. 「帝国主義」研究(国家のあり方としての「帝国主義」と思想としての「帝国主義」を縒り合わせた研究)
  2. 朝鮮社会文化研究(朝鮮社会の核となる文化を対象とした日韓関係史・帝国史研究)
  3. 北方論の研究
研究分野
日本近代思想史、植民地期朝鮮文化史
キーワード
朝鮮、白衣、オンドル、帝国主義、北方、植民地、陶磁器
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/歴史学分野/日本史学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/歴史学講座/日本史学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/歴史学・人類学コース/日本史学研究室
連絡先

研究室: 517
TEL: 011-706-2870
Email: kweon*let.hokudai.ac.jp 
(*を半角@に変えて入力ください)
FAX: 011-706-2870

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
日本史学研究室権 錫永 教授

知識人の思想と史料の融合
帝国と植民地の重なりを描く

知識人の思想を縦糸、公文書などの史資料を横糸として日本近代・植民地の歴史を描いていく、それが私の研究です。日本の帝国主義とは何だったのか?それを「悪」とする前提から離れて、根本的かつ理性的な批判を繰り返しています。この関心は「植民地とは何か」という問いにもつながります。

植民地朝鮮の実相を明らかにするために私が選んだのは、オンドル(暖房システム)・白衣・陶磁器といった朝鮮の生活文化の社会史研究です。韓国で出版した『オンドルの近代史』(2010年)はその成果の一つ。オンドルの近代史はそのまま帝国日本と植民地朝鮮の「重なり合い、絡まりあった歴史」です。それは日本・日本人を抜きにして語れない、隠れた日本近代史の一部分なのです。

1916年、朝鮮経営に役立たせる目的で、日本陸軍の調査資料を元に刊行。
1909年に出版されたこの本で浮田和民は、倫理的帝国主義について論じた

根本的な問いを大切に
恍惚感あふれる研究世界へ

ゼミでは、福沢諭吉をはじめとする様々な知識人の著作を読むこともあれば、「極秘」と記された公文書を読み続けることもあります。一緒にやっているうちに、歴史問題についてのユニークで根本的な問いが可能になるはず。朝鮮研究のエキスパートを育てるために、韓国語による専門のゼミも開講しています。

「恍惚と不安」。この言葉には研究者の卵の気持ちが凝縮されています。不安は誰にでもありますが、おもしろく意義のある研究には恍惚感が伴うもの。私はその恍惚感あふれる世界への良き案内人でありたいと願っています。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

近代において3度も大きな戦争を遂行し、あちらこちらに植民地をもった日本という国をどのように理解すべきか、知識人はそういう国家的行為とどのように向き合ったのか、これが学生の頃からの疑問でした。しかし、彼らの多くは決して「帝国」である日本に対立していたわけではありません。むしろ、荒削りの「帝国」を一種の洗練された「帝国」にしていき、戦争や植民地経営を、「人道」または「正義」で軽く味付けしていったのが、知識人だったとさえ言えるでしょう。彼らの思想において戦争・帝国主義・植民地経営は、現代の一般の見方に反して、しばしば悪ではないのです。問題を根本に立ち返って考えなければならないゆえんです。その難題に取り組む研究現場に立ち会ってみるのもおもしろいでしょう。

朝鮮研究を志す学生のために、大学院の授業をもう一つ開講し、発表と質疑応答すべてを韓国語で行うようにしています。韓国語による学会発表や論文作成も可能です。学生の中には、僕との普段の会話まで韓国語にしている人もいます。お望みなら、鍛えてあげましょう。

研究活動

略歴

(韓国)清州大学校卒業、北海道大学文学研究科修士課程・博士課程修了、博士(文学)、北海道大学文学研究科助教授、准教授を経て現職

主要業績

  • 「帝国主義の誤謬」に関する反省的思考―石橋湛山・北一輝・外務省革新―」『石橋湛山研究』4号、2022年
  • 「思想課題としての帝国主義-「道徳の進歩」をめぐる議論を手がかりにー」『哲学年報』67号、2021年
  • 『からまりあい重なりあう歴史』、北海道大学出版会、2021年
  • 「新渡戸稲造にみる「国民的立場」と「人類的立場」の問題」、『新渡戸稲造に学ぶ』、北海道大学出版会、2015年
  • 『オンドルの近代史』一潮閣、2010年(ソウル)
  • 『岩波講座 文学 第二巻 メディアの力学』小森陽一ほか共著(岩波書店、2002年)、分担執筆「日本における統制とプロパガンダ」
  • 「「北方」論のイデオロギーと戦略-<南方-北方>の対立 構図に注目して-」、『歴史評論』658集、2005年
  • 「<崇高性>の物語-三木清の「ヒューマニズム」・「行為の哲学」-」、『国語国文研究』108号、1998年
  • 「帝国主義と「ヒューマニズム」」、『思想』882号、1997年

所属学会

  • 歴史学研究会
  • 日本思想史学会
  • 朝鮮史研究会
  • 日本植民地研究会
  • 植民地文化学会
  • Korean Social History Association
  • 日本近代文学会

教育活動

授業担当(文学部)

  • 日本史学
  • 日本史学演習

授業担当(文学院)

  • 日本史学特殊講義
  • 日本近現代史特別演習

授業担当(全学教育)

  • 歴史の視座