松嶌 明男

プロフィール

松嶌 明男 教授 / MATSUSHIMA Akio
研究内容

フランス革命によって、ヨーロッパで始めて保障されるようになった宗教的自由(フランスでは礼拝の自由)を対象に、その成立の過程と具体的な保障の内容について、社会史の視点から研究しています。

研究分野
近代フランス史
キーワード
宗教的自由、フランス革命、ナポレオン体制、宗教社会史、礼拝の自由
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/歴史学分野/西洋史学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/歴史学講座/西洋史学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/歴史学・人類学コース/西洋史学研究室
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
西洋史学研究室松嶌 明男 教授

マイノリティーの権利も認める
ナポレオン政権の公認宗教体制

私の経験上、歴史研究は従来の定説では説明できない事象に気づいたときに大きく動き出すものです。例えばフランス革命以降にナポレオンがとった宗教政策は、これまでカトリック教会との相互依存とするコンコルダ体制の枠内で語られてきましたが、この定説では、両者の交渉に説明がつかない争点が残されたままの状態に。そこで一次史料を再検討したところ、政府はプロテスタントやユダヤ教にもカトリックと同等の権利を保障する公認宗教体制を確立したことがわかり、現場で問題に対応した行政の記録も見つけることができました。

現在は研究対象をフランス革命初期に始まった教会財産の国有化に移し、貴金属製聖具の没収についてその真相を明らかにしようと努めています。

一般信徒は触ることも許されなかった聖杯や聖遺物箱が、革命期には役人の手で箱詰めされ造幣局で地金にされた。写真は破壊を免れた貴重な革命以前の貴金属製聖具。
公文書館に保管されているフランス革命期の行政文書。聖具没収の足跡を追う際に「宗教」分類の史料のみに固執せず、「租税」関連にも視野を広げたことで数々の発見がもたらされた。(写真はすべて松嶌教授撮影)

思わぬ発見と出会う現地留学
院生室で自分の立ち位置を知る

当時の役人が事務的に記した行政文書が果たして歴史学的にどういう意味を持つのか、それを確たる史料と理論に基づいて読み解くのが我々歴史研究者の役割です。一見矛盾するようですが、当初の研究計画からはみ出た疑問や気づきこそが、自分ならではの研究成果に結びつく貴重な道しるべ。そうした思わぬ発見と出会うためにも、若い皆さんには現地で史料にあたる留学体験をおすすめします。

本学の場合、留学を含む研究支援制度が手厚く、大学院生は専用の院生室で日々研究できるという大変恵まれた環境が整っています。仲間が大勢いることで論文執筆や学会発表の意欲が増し、院生生活を俯瞰したスケジュール管理の面でも今の自分の立ち位置がわかり、次の目標が立てやすくなります。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

高校までの歴史の授業が既に分かっていることを記憶するのと違って、大学で行われている歴史学の研究は、まだ分かっていないことを追い求めることが本質です。誰も知らないこと、誰も分かっていないことを記録の海の中から発見していく営みは、確かに地味ではありますけれど、大きな喜びをもたらしてくれるものです。西洋史学の場合、研究対象はヨーロッパを中心とする海外になります。それぞれの国や地域に、その土地で生まれ育ち、鍛えられた歴史研究者がいます。言葉の面でも、調査に使える時間の面でも、日本人は彼らに匹敵するほどのレベルに達することは困難です。では、なぜ日本人が外国史を研究するのか。それは、現地の社会を色濃く染め上げている利害関係や人の思考を縛る常識とされるもの、そういった諸々の歴史的束縛から、自由な視点を持ちうるということに尽きると思います。最近は費用の面でもヨーロッパには行きやすくなっていますし、北大は交換留学の制度も充実しているので、学部生の頃から現地の大学で実地に指導を受けながら研究生活をスタートできるようになっています。西洋史学は第一線で女性研究者の活躍が目立つ分野ですので、男女を問わず多くの方の挑戦を期待しています。

研究活動

略歴

学位・博士(文学)を取得して東京大学大学院を修了し、栃木県の白鴎大学に2年間勤務。続いて東京の清泉女子大学に移籍し、12年間教鞭を執る。平成24年度から北海道大学に移籍し、西洋史学講座の一員に。

主要業績

  • 「近現代ヨーロッパにおけるゴシック様式大聖堂の社会史」松嶌明男著(坂野正則編『パリ・ノートル=ダム大聖堂の伝統と再生』勉誠出版)
  • 「礼拝を護るのは誰か」松嶌明男著(山﨑耕一・松浦義弘編『フランス革命史の現在』山川出版社)
  • 「近代への転換点であるフランス革命」松嶌明男著(島田竜登編『歴史の転換期8 1789年 自由を求める時代』山川出版社)
  • 『はじめて学ぶフランスの歴史と文化』上垣豊[編著]松嶌明男[分担執筆](ミネルヴァ書房)
  • 『図説 ナポレオン』松嶌明男著(河出書房新社)
  • 『礼拝の自由とナポレオン』松嶌明男著(山川出版社)
  • 「近代フランスにおける公認宗教体制と宗教的多元性」松嶌明男著(深沢克己・高山博編著『信仰と他者』東京大学出版会)

所属学会

  • 史学会
  • 西洋史学会
  • 日仏歴史学会
  • International Commission of the History of the French Revolution
  • 関西フランス史研究会

教育活動

授業担当(文学部)

  • 西洋史学演習

授業担当(文学院)

  • 西洋史学特殊講義
  • 西洋史学特別演習

授業担当(全学教育)

  • 歴史の視座

おすすめの本

  • リン・ハント『フランス革命と家族ロマンス』(平凡社)
    自由と平等を求めた革命が、こと家庭に関してはステレオタイプな価値基準を強要したことを明らかにする。