國木田

プロフィール

國木田 大 准教授 / KUNIKITA Dai
研究内容

先史時代における人間活動と環境変動について研究を進めています。特に、年代測定や同位体分析などの自然科学的手法を用いて、過去の食性や文化変遷に関して検討を行ってきました。

研究分野
考古学、文化財科学
キーワード
北東アジア、年代測定、同位体分析、環境考古学、食性復元
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/歴史学分野/考古学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/歴史学講座/考古学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/歴史学・人類学コース/考古学研究室
連絡先

Email: kunikita*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
考古学研究室國木田 大 准教授

フィールドに立つ考古科学者
年代測定で遺物の情報を開示

学部2年の時に初めてロシア・沿海地方の発掘調査に参加し、以来毎年、夏場は調査メンバーの一員としてフィールドで過ごしています。一般に分析調査を専門とする考古科学者はラボワークを好む傾向にありますが、フィールドワークの魅力も知る同業者は国内でそう多くはありません。発掘現場で吸収することは多岐に渡り、サンプリング資料とともにその場を取り巻いていたワクワクするような空気感ごと持ち帰ったあとのラボワークにも、いっそう力が入ります。

発掘された遺物から読み取りたい最も重要な情報は、年代測定です。それがいつのものかがわかれば、秘密のパスワードを開いたようなもの。その先にあるさまざまな情報を知る突破口になります。

発掘された土器に付着した“お焦げ”の採取風景。煮炊きされた内容物を特定し、古代人が何を食べていたかを探る。
日露共同調査で行われた極東ロシア・マラヤガバニ遺跡での調査風景。どのフィールドも移動の段階でひと苦労する覚悟は必要。

多様性に満ちた北大考古学研究
考古調査士の輩出も始まります

北海道大学の考古学研究室は北方文化論講座を前身とする歴史があり、考古学のなかでも幅広い研究分野を網羅している教員の充実度は国内屈指だと思います。大学関連施設である北大総合博物館や北大埋蔵文化財調査センターとの連携や、長年培ってきた研究実績・国内外の豊富な人脈が、あとに続く皆さんの研究を力強く後押ししてくれます。

考古調査士資格制度への加盟も、北大が国立大学の第二号です。2018年の文化財保護法改正によりいまは文化財の保存だけでなく観光資源としての活用を考える時代になりました。国民共有の財産である文化財に関する最新情報や正しい専門知識を身につけておくことが就職後のソフトランディングにもなるでしょう。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

考古学のなかには、土器や石器などの遺物を発掘調査する以外に、様々な自然科学分析法を使って、過去の環境や文化を研究する分野があります。これらは「考古科学」「環境考古学」などと呼ばれ、近年では必要不可欠な分野となっています。私は、最近では、土器に着いたお焦げの元素分析を行い、それがどのような食べ物であったのかを探る研究をしています。フィールドワークが苦手な学生さんでも、自然科学のラボワークなら大丈夫かもしれませんね。

 一方で、私はフィールドワークもとても重要視しています。毎年、北東アジア地域(主に極東ロシア)の遺跡調査に取り組んでいます。考古科学者が現場に赴くことを奇異に感じるかもしれませんが、自らが発掘調査に参加して、直接サンプリングした資料から新しい発見をすることは格別です。皆さんには、文系や理系といった領域にとらわれることなく、考古学を学ばれることを期待しております。このような方針は「学際研究」と言われていますが、若いうちに多くのことを吸収することは、きっと将来の礎となることでしょう。

 最後に、2020年4月から北海道大学考古学研究室は、考古調査士資格制度に加盟しました。考古調査士は、埋蔵文化財の調査に関わる人の知識や調査能力を証明する資格です。必要単位を取得すれば、考古学研究室以外の方でも資格をとることができます。興味のある方は、考古学研究室のホームページにあるガイダンス資料をご覧ください。

研究活動

略歴

山口高等学校卒、奈良教育大学教育学部文化財コース卒、東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学専攻修了、同大学院同研究科社会文化環境学専攻修了、博士(環境学)。東京大学総合研究博物館特任研究員、同大学大学院人文社会系研究科附属北海文化研究常呂実習施設助教、同大学大学院同研究科附属次世代人文学開発センター特任助教を経て、2020年より現職。

主要業績

  • Kunikita, D. et al. 2013 Dating charred remains on pottery and analyzing food habits in the Early Neolithic period in Northeast Asia, Radiocarbon 55-3: 1334-1340.
  • 國木田大 2015 「シベリア・極東ロシアの遺跡を掘る-自然科学の眼で見た発掘現場」増田研・梶丸岳・椎野若菜編『フィールドの見方』76-92頁、古今書院
  • Kunikita, D. et al. 2017 Radiocarbon dating and dietary reconstruction of the Early Neolithic Houtaomuga and Shuangta sites in the Song-Nen Plain, Northeast China, Quaternary International 441: 62-68.
  • Kunikita, D. et al. 2017 Dating and stable isotope analysis of charred residues from Neolithic sites in the Primorye, Russian Far East, Radiocarbon 59-2: 565-573.
  • 國木田大 2018 「年代測定・食性分析・遺伝人類学」日本考古学協会編『日本考古学・最前線』221-237頁、雄山閣
  • 國木田大 2019 「土器付着物でわかる年代と食生活」小林謙一編『土器のはじまり』83-105頁、同成社
  • 國木田大 2019 「東北北部地域における弥生時代の食性復元」設楽博己編『農耕文化複合形成の考古学㊦-農耕がもたらしたもの-』231-244頁、雄山閣

所属学会

  • 日本考古学協会
  • 日本文化財科学会
  • 日本第四紀学会
  • 日本植生史学会
  • 日本AMS研究協会
  • 北海道考古学会
  • 物質文化研究会

教育活動

授業担当(文学部)

  • 考古学

授業担当(文学院)

  • 考古学特別演習
  • 考古学特殊講義

授業担当(全学教育)

  • 歴史の視座

おすすめの本

  • 『発掘を科学する』田中琢・佐原真編(岩波書店)
    私がこの世界に入るきっかけになった本です。
  • 『環境考古学への招待-発掘からわかる食・トイレ・戦争-』松井章(岩波書店)
    環境考古学の研究事例がわかりやすく解説されています。
  • 『FENICS 100万人のフィールドワーカーシリーズ』(古今書院)
    全15巻、既刊10冊(2020年4月現在)。文化人類から自然科学まで、様々な分野のフィールドワーカーのエピソードが満載です。手前味噌ですが、私も2巻に書いております。