プロフィール
- 研究内容
明治憲法下の国家運営の諸相に関する、思想・制度の問題をふまえた政治史研究。
- 研究分野
- 日本近代史、明治憲法史
- キーワード
- 日本近代政治史
- 文学研究院 所属部門/分野/研究室
- 人文学部門/歴史学分野/日本史学研究室
- 文学院 担当専攻/講座/研究室
- 人文学専攻/歴史学講座/日本史学研究室
- 文学部 担当コース/研究室
- 人文科学科/歴史学・人類学コース/日本史学研究室
- 連絡先
研究室: 514
TEL: 011-706-2849
Email: aki-kawa*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。- 関連リンク
Lab.letters
アメリカ18回、スイス119回
日本ではまぼろしの憲法改正
世界各国の憲法改正状況を調べると、アメリカは18回、ドイツは43回、スイスにいたっては119回も、憲法を改正しています。わが国では1回です。日本国憲法は、大日本帝国憲法の改正によってできたものです。ところがこの事実は、日本人の歴史認識になっていません。まぼろしの憲法改正なのです。一方、1890年に施行された大日本帝国憲法は1946年まで一度も改正されたことがありません。1947年に施行された日本国憲法は本日ただいまにいたるまで、一度も改正されていません。どうやら私たち日本人は『一度作った憲法を改正することなく使い続ける』特異な傾向を持っているようです。これらの興味深い現象の原因を究明するのが、私の仕事です。
自分がおもしろいと思える
研究テーマで常識を再検討
「時代の機微に応じて憲法を改正する」という世界の常識が実は日本には当てはまらないように、我々を取り巻く常識を再検討することで見えてくる世界のありようを自力で明らかにするのが、この学問の醍醐味です。題材選びを他人に委ねたり研究の近道を安易に追いかけたりしては、残念ながら自身の成長につながりません。幸い北海道大学には落ちついてものを考えられる静かな環境があり、励まし合える先輩後輩もいます。私も皆さんの研究意欲を刺激できるように明治憲法史への尽きない関心を盛り込んだ授業で応援しています。
(聞き手・構成 佐藤優子)
メッセージ
日本近代史、それも明治憲法に纏わる思潮の歴史を「不磨ノ大典」を手がかりに叙述する、そのような仕事を続けてきました。その手始めが『明治憲法欽定史』であり、中間報告が『ふたつの憲法と日本人』です。
今は、近代日本の政治犯を、国家と国民がどのように考え処遇してきたのかを研究の中心に据えています。これまでの私の研究は、国家を肯定する人々の歴史であって、国家を否定する人々を無視していました。これでは日本近代史の全体を捉えることはできません。
国事犯とよばれた明治の政治犯は庶民の英雄でした。明治政府は時に苛烈に時に寛大に彼らを遇しました。思想犯とよばれた昭和の政治犯は、世間から白眼視されました。政府は彼らに反省の機会を与えると称して転向を促しました。近代日本の政治犯が畏敬の対象から社会の落伍者に変わったことがわかります。この様な変化の歴史的要因を探求するのが今の私の仕事です。
研究活動
主要業績
- 『明治憲法欽定史』川口暁弘著(北海道大学出版会)2007年
- 『きのうの日本』鵜飼政志、川口暁弘編者(有志舎)2012年
- 『ふたつの憲法と日本人』川口暁弘者(吉川弘文館)2017年
- 『두 개의 헌법과 일본인(ふたつの憲法と日本人)』川口暁弘著、ソンソクウォン訳(小花)2020年
教育活動
授業担当(文学部)
- 日本史学概論
- 日本史学
- 日本史学演習
授業担当(文学院)
- 日本史学特殊講義
- 日本近現代史特別演習
- 教養深化特別演習(基礎): 古典を読む
- ジェネリックスキル特殊講義: キャリアマネジメントセミナー
- ジェネリックスキル特別演習: キャリア形成
授業担当(全学教育)
- 歴史の視座
おすすめの本
- 『王政復古』井上勲著(中央公論新社)
学校で使う歴史の教科書だけが、歴史の本ではありません。この本の分析と文体が、そのことを教えるはずです。