学振DC・PD 申請書の書きセミナー2018・ブラッシュアップ<特別企画> 「くわしい申請書、でもロマン載せましょう―JSPS外国人特別研究員になるまで」開催されました

11月9日(金)に、日本学術振興会(JSPS)特別研究員申請書の書き方についての若手研究者の会「ブラッシュアップ会」の特別企画セミナーとして、「くわしい申請書、でもロマンも載せましょう:JSPS外国人特別研究員になるまで」が開催されました。

JSPS外国人特別研究員制度は、JSPSが実施する外国人研究者招へい事業のひとつとして、博士号取得後の若い外国人研究者が日本の研究機関で日本の受入れ研究者の指導のもと、共同して研究に従事する機会を提供する制度です。この制度では、海外で博士号を取得した外国人研究者だけでなく、日本に在住し日本で博士号を取得した外国人研究者も対象となりますが、このことを知らない方も多いのではないかと思います。

今回の特別企画では、北大文学研究科で博士号を取得後、昨年9月から外国人特別研究員として、京都大学人文科学研究所で研究を続けている李媛さんをお招きして、日本へ来たきっかけや研究への思い、外国人特別研究員への申請にあたって心がけたこと、さらに外国人として日本で研究することについて、お話していただきました。文学研究科所属の留学生を中心に他研究員の院生、教員、URAなど、およそ20名の参加がありました。

母国である中国の大学では、情報処理学が専門だった李さん。学部卒業後は民間企業に就職しましたが、古辞書との出会いから、日本で勉強したいという思いが強くなり、日本の大学院への進学を考えました。旅行で行った札幌に惹かれ、北大文学研究科へ。そのまま研究への道を進むことになりました。

李 媛さん。ご専門は平安時代の古辞書の研究。文字学と情報処理学のふたつのアプローチから研究を進めています。

李さんは、申請書を書く際にまず自分の研究についてチャート図を書いたそうですが、初めの構成は複雑すぎでうまくいかなかったと話してくれました。申請書をわかりやすく伝えるためにできるだけシンプルな構成を考え、そのうえで詳細な情報を記載していくことが大事だと話しました。

同時に、李さんは、自分のやりたいテーマへの夢や情熱を書いていくことがとても重要だと語りました。申請書として完成度が高くても、それだけは審査員の心は動かせないが、情熱をもって書くと、その熱意に研究者でもある審査員も、このテーマをやらせてみようかと思うものだと李さん。自身の経験からも、思い入れを強く書いたものほど採択につながっているとのことでした。

また、この制度が、日本の学術研究の推進及び国際化の進展を図ることを目的としている点を考えて、業績の「国際性」をしっかりアピールすることが大切だとアドバイスしました。さらに何故母国ではなく、日本でポスドクとして研究する必要があるのかも意識しながら書くとよいと話しました。

同じく文学研究科で博士号を取得し、外国人特別研究員として昨年まで京都大学で研究をしていた申雄哲さんも飛び入り参加してくださり、ご自身の経験も語りながら参加者へアドバイスしてくれました。

参加者へアドバイスする申 雄哲さん。リフレッシュのための時間とお金は自分へのご褒美として惜しまないで、と申さん。現在は、母国である韓国の研究所で研究活動を続けています。

質疑応答では、受入教員とのファーストコンタクトの方法についてや、留学生としていつ母国へ戻るのかあるいは戻らないのかなど、母国を離れて研究する留学生の方々の悩みや疑問が多く寄せられました。

単に申請書をどう書くかにとどまらず、参加者が海外で研究することについて考える機会となりました。

※外国人特別研究員については、JSPSウェブサイトをご覧ください。

過去の申請書書き方セミナー(学振特別研究員申請書編)は関連リンクからご覧ください。