若手研究者支援セミナー「学振特別研究員の申請に向けて準備は1年前から!」開催されました

4月21日(金)に学術振興会特別研究員DC・PD申請書の書き方セミナー2017「学振特別研究員の申請に向けて―準備は1年前から!」が開催されました。3人の現役学振特別研究員とPD経験のある教員に話題提供していただき、申請書を書く際の心構えや注意すべき点について、ご自身の体験を踏まえてお話を伺いました。

今回のセミナーのサブタイトルは「準備は1年前から!」。セミナー開催直後に控えた今年の申請への直前セミナーではなく、来年の応募を目指す方々を対象に、実際に申請書に着手するのは提出の2~3ヶ月前だとしても、本当の準備は、日々の研究の中で自分の研究テーマやキャリアプランを考えていくところから始まっているのだというメッセージを伝えることを目指して開催されました。

まず、生熊 源一さん(スラブ社会文化論専修)は、申請までの道のりを自転車のロードレースに例えて、長いロードを成功裏に走りきることができる秘訣は、ひとりで走るのではなく、仲間と連携しながら走る「トレイン」を組むことだと話しました。1年という申請までの長い道のりを「トレイン」を組んで一緒に走ってもらえる先輩や同期、先生を見つけること、「アシスト」となるような旅費支援への応募や学会・研究会等への発表を積み重ねていくことが大切であることを強調しました。

生熊 源一さん(スラブ社会文化論専修)

次にDC2に新規採用の李乃琦さん(言語科学専修)は、そもそも学振とは何なのかまったく知らなかった留学生という立場から、申請の際に心がけたこと、取り組んだことについて話しました。大切なのは、見やすく、読みやすく、わかりやすい申請書を目指して、自分の講座だけでなく違う講座の先生や知り合いにも草稿を読んでもらい、何度も修正することだと話しました。

李 乃琦さん(言語科学専修)

工藤 遥さん(社会システム科学専修)は、周りに学振特別研究員について知っている人が少なく、情報が少なかった経験から、積極的に情報を取りにいくことの重要性を述べ、申請書作成のコツについて、書き方と内容の2つの側面から詳しく丁寧な説明をしました。書き方では、読み手を意識してわかりやすく書くことに加え、自分が書けるところからどんどん書いていくことが大切とのアドバイスもありました。

工藤 遥さん(社会システム科学専修)

学振特別研究員PD経験のある哲学講座の佐野勝彦先生からは、3度目の正直で採択された自身の申請経験から、当たり前のことではあるがPDでは研究業績の数を上げることが重要であることと、申請書を書く際は審査員に「楽に読ませる」工夫が大切だと話されました。「あきらめないで、とにかく応募しましょう」と佐野先生。学振特別研究員時代、オランダ・イギリスへ留学した時に広がった研究者ネットワークが今の研究にも生きているとのことです。

佐野 勝彦先生(哲学講座)

教員コメンテーターの小杉康先生(北方文化論講座)、田口 茂先生(倫理学講座)、池田 証壽先生(言語情報学講座)の3人の先生方からも、ご自身の応募・採用中の経験、そして審査員としての経験や指導する院生の応募を支援した経験から、貴重なコメントやアドバイスがありました。

「申請書を書くことは、自分の研究の意義を振り返る良い機会です。」(小杉 康先生)
「早めに他の人に見せて、意見やアイデアをもらうことが大事」(田口 茂先生)
「業績を増やすにも人脈が大切。学会もチャンスのひとつ」(池田 証壽先生)

また、これまでに特別研究員に採択された方々の協力を得て、採択された申請書の閲覧コーナーが設けられました。

当日は、修士課程、博士後期課程の大学院生を中心に、計50名が参加しました。アンケート結果では、ほぼ全員が「役に立ちそうだ」と回答し、自由筆記欄にも「非常に参考になりました」、「今後の研究に向けてモチベーションが上がった」等のコメントが多く寄せられており、参加者にとっても有意義なセミナーであったことが伺えました。

今年度も、2018年2月頃に実践編として、「申請書の書き方相談会」を開催します。申請書の草稿持込も可能ですので、どうぞご参加ください。