書香の森・特集図書展示の更新を行いました。
今回は、文学研究院「楡文叢書」を特集しました。
楡文叢書は、文学研究院 専門研究員の研究成果を出版公開し、専門研究員の研究活動の活性化を図り、その研究成果を社会に還元するための助成図書シリーズです。
- 展示期間: 2026年1月19日(月)〜4月17日(金)
平日 9:00〜17:00
一般の方も自由にご覧いただけます。
展示図書リスト
ルクセンブルク語の音韻記述
(西出 佳代 著 北海道大学出版会 2015年)→ web書香の森
ドイツ語の一方言から1984年言語法によってルクセンブルク大公国の国語へと昇格を果たしたルクセンブルク語は、研究領域としても着目されて間もない新しい言語である。同言語の語学参考書や同国の社会言語学を扱った書籍が日本でも精力的に出版される昨今、本書は、同言語の音韻記述を目指した国内初の試みである。巻末には、付録として同言語の名詞類及び動詞類の屈折体系の概要も掲載されている。
清代小説『鏡花縁』を読む
19世紀の音韻学者が紡いだ諧謔と遊戯の物語
(加部 勇一郎 著 北海道大学出版会 2019年)→ web書香の森
中国清代の長編小説『鏡花縁』を、物語内部に由来する「圏」「縁」「半」といったキーワードを用いて分析、解読する。書き手の意図や趣向に沿う形で読み直すことで、作者の李汝珍や清代文人が当時眺め考えていた世界を現代に描き出す。中国古典小説の豊穣な世界を伝える一冊。
万葉集羈旅歌論
(関谷 由一 著 北海道大学出版会 2021年)→ web書香の森
現存する日本最古の和歌集、『万葉集』に載る旅の歌を考察対象とする。表題の「羈旅(きりょ)」とは「旅」の意味で『万葉集』の題詞や標目に既に用いられている漢語であるが、それがどのような内実を担わされているのかを、個々の歌の表現理解に基づき明らかにする。併せて、〈家と旅〉といった、従来の羈旅歌論の前提的枠組みを再検討し、旅の歌の中で「家なる妹」がうたわれることの起源について、一つの見通しを示す。
人権論の光と影
環大西洋革命期リヴァプールの奴隷解放論争
(田村 理 著 北海道大学出版会 2021年)→ web書香の森
アメリカ独立革命、フランス革命の衝撃を受けた18世紀末のイギリスでは、南北アメリカの黒人奴隷の解放を訴える運動が勃発し、「万人は生来にして自由」という人権理念が一挙に浸透した。奴隷貿易港リヴァプールですら、例外ではない。しかし間もなく、人権理念の破壊力を柔軟に受止めつつ、その享有主体をイギリスの成人男性に限定したり、あるいはそれを、アジア、アフリカの植民地支配の口実にしたりする企てが現れた。
空海の字書
人文情報学から見た篆隷万象名義
(李 媛 著 北海道大学出版会 2023年)→ web書香の森
本書は、空海の字書―日本現存最古の漢字字書である高山寺本『篆隷万象名義』を基礎資料として、玉篇系字書全般を視野に入れ、大別して情報学、書物学、文字学の三つの視点から本文解読へとアプローチする古辞書研究である。これら三つの視点から総合的に研究することで、いくつかの新しい知見を提示することができた。また難字の多い古写本を電子テキスト化した点と、日中の本文研究の成果を統合して論じた点に、本研究の特長がある。
死者のカルシッコ
フィンランドの樹木と人の人類学
(田中 佑実 著 北海道大学出版会 2023年)→ web書香の森
「死者の印」をもつ樹木、死者のカルシッコはフィンランドのサヴォ地方を中心にかつて盛んに作られた。死者を墓場へ帰すとされたこの樹木は、キリスト教の浸透、林業を基盤とするフィンランドの産業化、近代化による社会と人々の変容に伴いながら、死者を思い出すものへとその意味をかえ、次第に忘れ去られていった。風習が終わりつつある今、「エラマ(生)」をキーワードに、カルシッコとともに生きる家族の想いと暮らしを描く。
隠逸詩人陶淵明
(熊 征 著 北海道大学出版会 2025年)→ web書香の森
仕官の道から田園に帰り、隠逸生活をうたった陶淵明。「古今隠逸詩人の宗なり」と評されたその人物、思想、詩と後世の評価について、楊朱の影響、湛方生および江淹との相違、顔延之、鍾嶸、蕭統・蕭綱兄弟による評価など多様な観点から分析する。



