若手研究者支援セミナー「学振特別研究員の申請に向けてはじめの一歩!」開催されました

1月13日(火)に、文学研究院研究推進委員会主催の若手研究者支援セミナー「学術振興会特別研究員DC・PD申請書の書き方セミナー2025~学振特別研究員の申請に向けて―はじめの一歩!~」をZoom開催しました。本セミナーの対象者は、今年5月に学振特別研究員DCやPDに申請する大学院生およびポスドクのほか、学部生や修士課程1年生で今回初めて学振特別研究員制度について耳にする学生さんです。

結城雅樹 教授(行動科学研究室)

セミナーでは、まず始めに司会を務める研究推進委員会研究支援専門部会長の結城雅樹教授(行動科学研究室)が、本セミナーの開催主旨と日本学術振興会特別研究員制度の概要について説明しました。学振の制度が若手研究者の研究活動および経済的な支援をする制度として長い歴史を持つことを紹介しつつ、自身がDCおよびPDに採択された経験をもとに、研究に必要な物品の購入や出張に使える研究費だけではなく生活費のためにアルバイトをする必要が減り研究に専念できる研究奨励金が受給できるメリットについて説明しました。また、DCやPDに採用されることは、それ自体が研究者としてのキャリアを考えるうえで重視するポイントであることも述べました。

(スライドと荒井さん)

話題提供の一人目は、令和7年度採用PDの荒井 悠太さん(東洋史学研究室)です。『学振PD申請までの道のり』と題し、早稲田大学から本学への機関移動を伴うPDの申請経験をお話しいただきました。PDに申請することを決めてから実際に申請するまでの流れを解説するとともに、申請書を作成する際の留意点について具体的なアドバイスをいただきました。PDは、大学院生として所属した大学とは異なる大学に機関移動することが決められており、受け入れる研究者が所属する機関を通して申請手続きを行う必要があります。そのため、実際の申請時期は例年5月ですが、なるべく早めに受入研究者とコンタクトを取り、意思疎通をしておいたほうがよい、ということです。また、申請書の作成については、添削・改稿に時間をかけること、既に申請に関するマニュアル本があるのでそこで提示されているレベルが前提水準であること、読み手の予備知識に依存せず異分野の人が理解できる文章にすること、などが挙げられました。申請手続きも、申請書作成も、とにかく準備を早めに始めて「採択された人の申請書をたくさん読むこと、他の人にたくさん読んでもらうこと」が推奨される、ということです。

(スライドと駒田さん)

二人目は、来年度(令和8年度)DC2に採用内定した駒田 珠希さん(哲学倫理学研究室)に、『学振申請書:私の工夫と気づき』について話題提供いただきました。まず初めに、学振に採用されるとどういったメリットがあるのか、受給できる研究奨励金(生活費相当)と研究費についての具体的な金額とともに「できること」の紹介がありました。続いて、『チャリタブル』をキーワードに申請書作成のコツを解説。他の人に申請書を読んでもらう際に気を付けた点として、時間制限を設けて「理解しようと努めないで」読んでもらうことを挙げ、一定以上の時間や労力といった負荷を与えずに読み手が申請書の内容を理解できるかどうかが鍵となる、ということが説明されました。指導教員の先生や同じ研究室の先輩や同期であれば不十分な記述でも推察してくれたり、理解が期待できますが、申請者のことを知らない審査者の視点に立ち、いかに審査者に負担をかけずに申請書を読んでもらえるかが重要ということです。また、申請書を作成するうえで意識していたこととして「自分の研究を、先行研究や研究分野全体の流れの中に位置付けること」を挙げ、申請書を書くことだけではなく申請すること、申請する過程についても理解を促すお話しでした。

(スライドと竹西さん)

最後は、現在修士課程2年生で来年度のDC1に採用内定した竹西 海人さん(行動科学研究室)に『生活の一コマから眺める学振申請書の書き方』と題して話題提供いただきました。荒井さんや駒田さんの話題提供でも強調された「読み手に理解してもらう工夫」、「読み手の視点に立つ力」について、申請書の作成は日常生活のコミュニケーションの延長線上と言えるのではないか、という角度から申請書の書き方について解説。誰しもが共感できそうな「生活の一コマ」という例を題材に、とても分かりやすく、そしてたいへん楽しく、申請書を書く上で気を付けるポイントについて学べる内容でした。例えば、研究の内容を書く際は「相手が何を知っているのか」を前提知識として考慮したうえで、「何を知りたいか」を書くことが大切なポイント、ということです。その他、申請書の形式に従って書くこと、研究の意義についてはメタ視点で捉え制約の中で書くこと、など「書く作業」そのものよりも準備に多くの時間を割いたという体験談が共有されました。今回初めて学振に申請する、ゼロから申請書を書く人にとっては大まかにどういった項目をどういう観点で書くのか、今回再チャレンジする人にとっては不採択だった申請書を改良するアイデアを見つけられる機会になるお話しでした。

質疑応答では、不採択の経験を乗り越える方法として「他の補助金を獲得する」、「ガラッと方針を変える」、「申請から半年後に届く不採択通知を受け取ってから改めて申請書を読むと、自分でも不採択の結果に納得できたのですぐに次の申請に向けて切り換えする」、という回答をいただきました。

質疑応答の後は、3名の教員コメンテーターから申請者側・審査側の両方の視点からコメントと申請に向けて前向きになれるアドバイスをいただきました。
久井 貴世 准教授(博物館学研究室)
「採択された申請書だけではなく、不採択だった申請書も見せてもらうと良くなった点が分かりやすい。」
「自分が売りだと思っている点が、申請する審査区分で評価されるポイントなのかを考えるとよい。」
林 琢也 准教授(地域科学研究室)
「申請書を書くうえで、読み手の視点を考慮することが大事。」
「異分野の人に読んでもらう、先輩に見てもらう、同期で読み合う、そういった中で研究の明確なビジョンも見えてくる。」
吉田 拓矢 講師(日本史学研究室)
「一貫性を持たせることが大事。」
「申請書の書式は年々、少しずつ変わるので、その変更点の意図は何か?について考える。」
「不採択でも、審査者に対して“見る目ないな”と、強い気持ちを持つことも大切。」

(林先生)    (久井先生)   (吉田先生)

当日は、文学院のほか情報科学院や法学研究科の大学院生を含めた計27名が参加。アンケートの自由回答欄では、「先輩方のご意見は参考になりました」、「今まで聞いたことがないような重要なポイントをご教示くださいました」、など話題提供者やコメンテーターへのメッセージをいただきました。また、追加質問の回答欄には、「業績はどのくらい評価されるのか?」や「EXEX博士人材フェローシップの申請書との書き方の違いは?」といった質問があり、話題提供者からの回答を参加者へ後日共有しました。

文学院生・文学部生は、過去に採択された学振特別研究員の申請書を研究推進室で閲覧することが可能です。閲覧希望の方は、本セミナーで配布した資料(10.【北大文学】学振特別研究員申請書閲覧確認書(様式2))に必要事項を記入のうえ、研究推進室へお申し込みください。

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