プロフィール

熊 征 講師 / XIONG Zheng
研究内容

⒈ 中国詩人の哲学思想、とりわけ隠逸思想
⒉ 中国古典詩歌批評史
⒊ 明清小説に見えるジェンダー問題

研究分野
中国古典文学、中国哲学
キーワード
漢詩、詩話、隠逸思想、陶淵明、魏晋南北朝
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/表現文化論分野/中国文化論研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/表現文化論講座/中国文化論研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/言語・文学コース/中国文化論研究室
連絡先

Email: kuma*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
中国文化論研究室熊 征 講師

時代や国を突き抜けて
心を掴む「個人の生」讃歌

政治情勢が不安定だった中国の六朝時代、国や社会のために生きる儒家思想の信仰が崩れたため、世俗を離れ、ひたすら自分自身と向き合う隠逸の道を歩んだ人は多くいました。その一人であり、田園での日常生活や心の葛藤や欲望をうたった陶淵明は「古今隠逸詩人の宗」だと評されます。

陶淵明の生き方に根拠を与えた思想家として、戦国時代の思想家楊朱があげられます。天下国家が優先される時代に徹底した個人主義を唱えた楊朱が説いた「個人の生の充実」は時を経て陶淵明の心を掴み、その陶淵明の作品が世情に翻弄される李白や杜甫、白居易などの詩人、さらには日本の文化人たちの心をも捉えました。その影響力に、素晴らしい詩や思想というものの普遍性を感じています。

画家でもあった江戸中期の俳人・与謝蕪村が描いた陶淵明。「蕪村」の俳号は陶淵明の「帰去来兮辞」という文から取ったもの。
文学部1階「書香の森」で展示した「連環画」(中国生まれの小さな劇画本)の企画展。皆でアイデアを出し、得意分野を活かしたチームワークで実現した。

専門分野を楽しく、
わかりやすく分かち合う

選び抜かれた言葉が凝縮している詩の読解は、過去という時間が凝縮されて今この瞬間を迎えている「私」や「あなた」を理解することとも重なります。そう思うと、人も一篇の詩もそこに潜む多様性を理解するのは等しく難しく、またそこが面白いのではないかと感じています。

私が学生としても在籍した本学の中国文化論研究室の輪は、一人一人が独立した「私」の集まりであり、日頃から自由に議論できる刺激的な「私たち」でもありました。学生と同じ目線を大事にしてくれる先生たちから専門研究を楽しく、かつ、わかりやすく他者と共有する喜びも教えていただきました。ここで私が受け取った数々の学びを、皆さんとも分かち合っていきたいです。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

よく知られている東晋の王羲之の書作「蘭亭序」では、中国古代の文人サロンの風流が記されています。彼らは宇宙の広大さを感じながら、万物の盛んになっていることを窺い、精神を天地の間で遨遊していました。中国文化論研究室では、このようなサロン的な雰囲気は代々受け継がれております。学生一人一人の意志を尊重した上で、それぞれの勉強したいこと、研究したいことをサポートし続けることに力を尽くしています。文献の正確な読解する方法、資料の調べ方・使い方を身につける重要な第一歩とし、多様な角度で物事を解釈できる人を育成するのは目標です。漢詩を例としてあげると、詩人の経験、感情そして思想が凝縮された「素」を、それぞれの心に流れている「水」で溶けると、それぞれ違う味になります。独自の味わい方で中国文学の世界を遨遊してみませんか。

研究活動

略歴

中国江西省生まれ、大連外国語大学日本語学部卒業。北海道大学大学院文学研究科修士課程修了。北海道大学大学院文学院博士後期課程修了、博士(文学)。北海道大学大学院文学研究院専門研究員を経て、2024年より現職。

主要業績

  • 1. 「『金瓶梅詞話』にける「雪」と女色」(『饕餮』第30号、2023)
  • 2. 「陶淵明の死生観における楊朱思想の受容について」(『日本中国学会報』第74号、2022)
  • 3. 「陶淵明の詩文における「門」のイメージについて―阮籍「詠懐詩」との比較を中心に」(『中国文史論叢』第16号、2020)
  • 4. 「『孫子』形篇の攻守観について―竹簡本と十一家注本の比較を中心に」(『北海道大学大学院文学研究科研究論集』第18号、2019)
  • 5. 「湛方生の隠逸思想について―陶淵明との関わり」(『中国哲学』第47号、2019)
  • 6. 「江淹の隠逸思想について―陶淵明との関わり」(第45・46合併号【論考篇】、2018)
  • 7. 「『詩品』と「雑体詩」における陶淵明―「中品」という評価をめぐって」(『北海道大学大学院文学研究科研究論集』第18号、2018)

所属学会

  • 日本中国学会
  • 東方学会
  • 中国文史研究会
  • 北海道大学中国哲学会
  • 中国人文学会

教育活動

授業担当(文学部)

  • 中国語学演習
  • 中国文学演習
  • 中国語学概論

授業担当(文学院)

  • 中国文学特殊講義
  • 中国語学特別演習

授業担当(全学教育)

  • 芸術と文学

おすすめの本

  • 武田雅哉『中国飛翔文学誌』、人文書院、2017
    虚実ないまぜになった奇譚によって綴られ、面白く中国各時代の文芸作品に触れられる。