内容紹介
ドイツ語の一方言から1984年言語法によってルクセンブルク大公国の国語へと昇格を果たしたルクセンブルク語は、研究領域としても着目されて間もない新しい言語である。同言語の語学参考書や同国の社会言語学を扱った書籍が日本でも精力的に出版される昨今、本書は、同言語の音韻記述を目指した国内初の試みである。巻末には、付録として同言語の名詞類及び動詞類の屈折体系の概要も掲載されている。
著者からのコメント
ルクセンブルク語は、北の低地ドイツ語と南の上部ドイツ語の間に位置する中部ドイツ語・西モーゼルフランケン方言に分類される言語です。低地ドイツ語やバイエルン方言、スイス・ドイツ語などに比べて、中部ドイツ語に属する言語変種の体系的な記述は、現地でもまだ十分進められていません。本書は、ゲルマン語圏とロマンス語圏の間、東西の言語接触地域における一言語変種を扱った記述であるのと同時に、西ゲルマン語内部での南北の方言連続の中間にある言語変種を扱った、中部ドイツ語研究の足掛かりともなる研究書です。西ゲルマン語における方言連続のダイナミズムや、中間的な変種にとどまらない中部ドイツ語の豊かな特徴を垣間見ていただければ幸いです。
外部リンク
〔出版社〕北海道大学出版会の紹介ページ