2021.03.31

万葉集羈旅歌論

著者名:
関谷 由一(著)
文学研究院教員:

内容紹介

現存する日本最古の和歌集、『万葉集』に載る旅の歌を考察対象とする。表題の「羈旅(きりょ)」とは「旅」の意味で『万葉集』の題詞や標目に既に用いられている漢語であるが、それがどのような内実を担わされているのかを、個々の歌の表現理解に基づき明らかにする。併せて、〈家と旅〉といった、従来の羈旅歌論の前提的枠組みを再検討し、旅の歌の中で「家なる妹」がうたわれることの起源について、一つの見通しを示す。

著者からのコメント

私の初めての論文集です。刊行の機会をいただいた本学文学研究院に感謝いたします。近畿を中心とした伝統的な〈日本〉の中心から離れた北海道だからこそ、〈日本〉という制度の全体が見渡せるのではないかと思います。平安中期以降、京の内部で自足と洗練の度を深めていった貴族たちは、上代にあっては未だ、全国統治の担い手としての意識を堅持していました。本書はそうした観点から万葉の旅の歌、羈旅歌を分析したものです。東京や京阪と比べ、研究上「不利」と言われがちな北海道に長年、居住する者としての自負のようなものもあります。

ISBN: 9784832968721
発行日: 2021.03.31
体裁: A5判・334ページ
定価: 本体価格7,000円+税
出版社: 北海道大学出版会
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

はじめに一旅の歌の形成過程とその結果を考える
序章 研究史をたどって一旅の歌の誕生と発想様式

第一部 旅の歌における「家」と「妹」
第一章 旅の歌における共感関係の淵源
第二章 「家」の表現性の再検討
第三章 山上憶良「日本挽歌」の「家」「国内」について
第四章 相聞から望郷へ

第二部 羈旅歌論
第五章 羈旅歌とは何か
第六章 〈羈旅〉主題化の始発一
第七章 高市黒人歌の方法(1)
第八章 高市黒人歌の方法(2)
第九章 部類歌巻における〈羈旅〉像
終章 旅の歌における「家の妹」と羈旅歌の意義