若手研究者支援セミナー「学振特別研究員(DC・PD)申請書の書き方相談会」を開催しました

 

司会者 研究支援専門部会長 中村三春教授
                            (映像・現代文化論研究室)

3月20日(月)に、文学研究院・研究推進委員会主催の若手研究者支援セミナー「学振特別研究員(DC・PD)申請書の書き方相談会」をZoomにて開催しました。このセミナーは、2023年5月の申請(2024年度採用分)に向けて申請書作成の実践的な内容を知り、申請書のブラッシュアップに役立ててもらうことが目的です。第1部の教員による話題提供および事務からのお知らせに続き、第2部では事前に申し込みのあった申請予定者がBreakout roomに移動し、希望する専門分野の相談員に直接相談できる個別相談会を開催しました。第1部には、大学院生のほか学部生やポスドクの方など32名が参加、第2部には計12名の大学院生が参加しました。

竹澤正哲教授 行動科学研究室
話題提供者 竹澤正哲教授(行動科学研究室)

第1部では竹澤正哲教授(行動科学研究室)から「選考方法から逆算する申請書の書き方」というタイトルで話題提供がありました。竹澤教授はこれまでに、学振特別研究員(DC2およびPD)、学振特別研究員に申請する学生をサポートする指導教員の立場、学振特別研究員申請書を実際に審査する審査員の立場、と複数の立場を経験しています。

まず初めに、特別研究員の審査では何が問われているか?についてお話がありました。続いて「書面審査セット」と「相対評価」という2つのキーワードを挙げ、誰が申請書を読み、どのように採択者が決まるのか、詳しい説明がありました。重要なのは、自分と同じ書面審査セットを選んだ多数の応募者の中で、自分が「できる」研究者に振り分けられることです。審査者は、狭い意味では専門外の研究分野に関する大量の申請書を短時間で、人によっては老眼を抱えながら読むので、一見して研究の重要性や申請者の優秀さが分かる申請書を作成することが大切だと言います。申請書に求められる明快な論理構造を持った文章の例として、竹澤先生自身が作成し、採択された申請書の実物をスライドで紹介しながら、段落構成について解説しました。

世の中には、申請のHow to 本があふれていますが、結局は指導教員や先輩に読んでもらいながら何度も書き直しを行い、決して控えめにならずに自分の業績を遠慮なくアピールすることが大切です。たとえ申請時点では業績が少なくても審査は相対評価なので採択される可能性はあります。最後に、申請者がこれまで活発に良い研究をしてきたことが評価の根底となるので、諦めずに申請することが大切で、最もダメなのは「申請しない」ことであると締めくくりました。

竹澤先生のお話に 続いて、庶務担当の大久保主任から電子申請システムのIDとパスワードの発行手続きおよび申請書作成時の注意事項について説明がありました。

参加者12名と相談員9名による個別相談会の様子

第2部は、話題提供者の竹澤教授のほか、映像・現代文化論研究室、哲学倫理学研究室、中国文化論研究室、地域科学研究室から4名の教員、哲学倫理学研究室、日本史学研究室、欧米文学研究室、地域科学研究室から4名のDC・PD採択者が相談員として対応する個別相談会を行いました。審査員経験や申請書の指導経験が豊富な教員と現役の学振特別研究員が相談員となり、事前に申し込みのあった参加者とBreakout roomに移動して申請書の草案やアイデア、不採択になった申請書を共有しながら相談に応じました。参加者は研究の具体的な内容にも踏み込みながら、貴重なアドバイスを受けることができました。

実施後のアンケートでは、回答者23名全員から今回のセミナーは「役に立ちそうだ」と回答がありました(満足度100%)。また、「話題提供者の先生がご経験や申請書例を示してくださったおかげで、疑問に思っていたことが、だいぶクリアになりました」、「第2部では、相談を通じて、自分が書いていることの中でもどのような内容が審査員に優秀だと伝えられるのかがわかりました」といった感想をいただきました。相談会は来年度も同じ時期に開催予定です。

学術振興会特別研究員制度についての基本的な情報を提供する「申請書の書き方セミナー」は、2023年の冬頃に開催予定です。現在、研究生や学部生の方で学振特別研究員制度や申請手続きについてもっと知りたい方はこちらのセミナーにご参加ください。詳細は、公式サイトをご確認ください。多数のご参加をお待ちしております。