若手研究者支援セミナー「学振特別研究員(DC・PD)申請書の書き方相談会」開催されました

3月27日(水)に、文学研究院・研究推進委員会主催の若手研究者支援セミナー「学術振興会特別研究員(DC・PD)申請書の書き方相談会」がZoomで開催されました。この相談会は、2024年5月の申請(2025年度採用分)に向けた実践的な申請書の書き方をテーマとして2016年度から始まった試みです。コロナ禍に対面からオンラインでの開催に形式を変更し、以降は毎年Zoomで行っています。第1部では教員から話題提供を行い、5月の申請に向けて気持ちを前向きにしてもらい、第2部では事前に申し込みのあった申請予定者を対象に個別相談会を行い各自Breakout roomに移動して相談員に気負いなく相談できるよう場を設けました。第1部には、大学院生のほか学部生や研究生、ポスドクの方など24名が参加、第2部には計15名の大学院生が参加しました。

第1部は藏田伸雄先生(哲学倫理学研究室)から「審査員は申請書のどこをどう見るか―学振特研奨励費をとりに行く!」のタイトルで話題提供いただきました。まず初めに、学振特別研究員PDに採択された経験と同時にDC2とPDの不採択の経験を併せ持つ経験者ならではの導入から”日本学術振興会学振特別研究員とは何か?” について具体的な解説がありました。特に、経済的な理由から博士課程進学を躊躇する学生向けに、特別研究員に採択されると受給できる研究奨励金(給与相当)や研究費についての紹介があり、進学へのためらいを緩和する効果があったと思います。また、既に学内のフェローシップを受けている学生でDCに申請しようか迷っている人にとっては、経験者から学振特別研究員ならではの利点を聞くことで、申請に向けたモチベーションが上がったのではないかと思います。さらに、研究費を獲得する意味や申請することの意味、学振特別研究員であればこそできる研究生活や得られるチャンスについても触れました。次に、本セミナーの配布資料にも入っているチェックリストに言及しながら、”申請書は誰が審査して、どこに着目して、どのように評価しているのか?”について日本学術振興会の公式サイトで公開されている過去の審査員リストや審査項目、審査区分と書面審査セットを改めて確認することの必要性について説明しました。続いて、審査する側の立場からの視点として審査員がどのような環境下で審査するのか、どういう書き方がNGなのか、分かりやすい申請書とは何なのか、具体的な計画書とはどのように記載するのか、など申請書の項目ごとに具体的なアドバイスがたくさんありました。最後に、大切なことは”研究を楽しむこと”であり、周囲からサポートを受けることや申請するプロセスそのものを楽しむことである、と、まとめられました。

藏田伸雄先生(哲学倫理学研究室)による話題提供

第2部は、話題提供をしていただいた藏田先生、宗教学インド哲学研究室、地域科学研究室、中国文化論研究室、哲学倫理学研究室から4名の教員、哲学倫理学研究室、日本古典文化論研究室、行動科学研究室、考古学研究室から4名のDC採択者、の計9名の相談員が申請書の作成について相談に応じる個別相談会を行いました。審査員経験や申請書の指導経験が豊富な先生方に加えて昨年度と今年度採用分学振特別研究員の方々が相談員となり、Breakout roomで申請書の草案や研究計画のアイデア、昨年度不採択になった申請書を画面共有しながら事前に申し込みのあった参加者との相談に応じました。相談者は、広い意味では同じ分野の他研究室に所属する相談員や自身の専門とは全く異なる専門分野の相談員と話すことで、研究内容を別の角度で捉えなおしたり研究計画書を書くうえでのヒントを得たりすることができ、5月の申請に向けて実践的なアドバイスを受けることができました。

第2部での相談員9名の協力による個別相談会

終了後のアンケートでは、話題提供いただいた藏田先生への「大変分かりやすいご説明をありがとうございました。申請書を書く上で意識するべき点や改善点を具体的にイメージすることができました。」といったコメントや、個別相談会の参加者からは「自分の申請書を客観的に見ることができ、ためになりました。」、「実際に学振に採用された方々から、具体的なアドバイスをもらうことができ、大変参考になった。」、「先達の失敗と成功を例にすることで、より明確に学振について知ることができ、応募に対する心理的ハードルが下がったように思います。チェックリストの資料なども大変参考になりました。また、先生以外のDCの経験談を聞くこともでき、今回の企画に満足しています。」などのコメントもいただきました。相談会は来年度も、同じ時期に開催予定です。

本セミナーの開催と合わせ、これまでに学振特別研究員DC・PD・RPDや海外特別研究員、外国人特別研究員に採用された文学院/文学研究科の方々のご協力により、採択された申請書を自由に閲覧できる申請書作成支援を提供しています。採択された申請書の閲覧をご希望の方は、研究推進室(文学研究院・研究棟203室)にて閲覧可能です(文学部・文学院・文学研究院に所属する若手研究者に限ります)。閲覧希望の方は、事前にメールで閲覧希望日時を研究推進室までご連絡ください。
2021年までは4月、2022年以降は12月に開催している「申請書の書き方セミナー」は、今年度も12月に開催予定です。現在、研究生や学部生の方で学術特別研究員についてもっと知りたい方はこちらのセミナーにご参加ください。詳細は、公式サイトをご確認ください。多数のご参加をお待ちしております。