〈特集図書展示No.33〉文学研究院 出版助成図書2023 展示詳細

書香の森・特集図書展示の更新を行いました。今回は2023年度に文学研究院の助成を受けて出版された書籍を紹介します。

  • 展示期間: : 2024年5月13日(月)〜9月6日(金)

展示図書リスト

一般図書刊行助成

  • 「地理総合」とGIS教育 ― 基礎・実践・評価 ― →web書香の森
    橋本 雄一 編 古今書院)
    〈内容紹介〉現代社会では地図活用能力が不可欠になっており,その教育を担うのは2022年から始まった高校の必履修科目「地理総合」です。この科目におけるGIS教育を中心に,第1部ではGIS教育の基礎知識と国土地理院の教育支援等について,第2部では高校における様々な授業実践や観点別評価の方法と課題などについて解説しました。第3部では大学の教職科目でGISの考え方や技能をどのように培うか教員養成の課題を検討しています。
  • 複雑な問題をどう解決すればよいのか ― 環境社会学の実践 →web書香の森
    宮内 泰介、三上 直之 編 新泉社)
    〈内容紹介〉つねに複数の意味が錯綜し、かつ問題があちこちに埋め込まれ、ときにいったい何が問題なのかもはっきりしないのが「環境問題」。では、それをどう解決すればよいのだろうか。基地問題、中山間地問題、歴史的環境、獣害、再生可能エネルギー、気候変動、原発などをとりあげながら、環境社会学の蓄積を踏まえた解決方法、つまりは直線的な「解決」ではない、協働で順応的なプロセスとしての「解決」を多角的に論じました。

  • 「人種か、階級か」を超えて ― 大恐慌期アラバマにおけるコミュニストの闘い →web書香の森
    (ロビン・D・G・ケリー 著、村田 勝幸 訳 彩流社)
    〈内容紹介〉冷戦の終焉が迫るなか、ひとりの23歳の黒人大学院生がアラバマ州バーミングハムにいた。彼は散逸した史料を渉猟し、関係者への聞き取りで空白を埋めて大恐慌期アラバマの労働史、とりわけ黒人労働者とコミュニストの関係に注目した歴史を紡ぎ出した。本書は、「1930年代のアラバマについての歴史」にとどまらない。人種や階級、ジェンダー等の連動性ないし交差性を考える鍵や、歴史理解自体をめぐる重要な示唆がそこにある。
  • 『堤中納言物語』滴注 ― 新典社注釈叢書28web書香の森
    後藤 康文、岡田 貴憲 注釈 新典社)
    〈内容紹介〉『虫めづる姫君』で有名な現存唯一の短篇物語集『堤中納言物語』は、数多くの注釈書に恵まれた作品です。しかし、この作品の劣悪な伝存状況が災いして、そのどれもがはなはだ不十分な成果しか上げることができず、ここ30年余りは注釈作業の空白期間となっていました。本書は、そのような停滞状況を打破すべく、従来にない果敢な本文改訂案と斬新な読解案を縦横に提示した、この作品の画期的注釈書です。

楡文叢書

  • 死者のカルシッコ ― フィンランドの樹木と人の人類学web書香の森
    田中 佑実 著 北海道大学出版会)
    〈内容紹介〉「死者の印」をもつ樹木、死者のカルシッコはフィンランドのサヴォ地方を中心にかつて盛んに作られた。死者を墓場へ帰すとされたこの樹木は、キリスト教の浸透、林業を基盤とするフィンランドの産業化、近代化による社会と人々の変容に伴いながら、死者を思い出すものへとその意味をかえ、次第に忘れ去られていった。風習が終わりつつある今、「エラマ(生)」をキーワードに、カルシッコとともに生きる家族の想いと暮らしを描く。