2024.3.10

複雑な問題をどう解決すればよいのか

環境社会学の実践
著者名:
宮内泰介 三上直之 編
文学院・文学研究院教員:
宮内 泰介 みやうち たいすけ 教員ページ

内容紹介

つねに複数の意味が錯綜し、かつ問題があちこちに埋め込まれ、ときにいったい何が問題なのかもはっきりしないのが「環境問題」。では、それをどう解決すればよいのだろうか。基地問題、中山間地問題、歴史的環境、獣害、再生可能エネルギー、気候変動、原発などをとりあげながら、環境社会学の蓄積を踏まえた解決方法、つまりは直線的な「解決」ではない、協働で順応的なプロセスとしての「解決」を多角的に論じました。

著者からのコメント

「やっかいな問題(wicked problems)とは、定式化できない問題、どこが終わりなのかはっきりしない問題、したがって何度でも「再解決」しつづけるしかない問題とされます。多くの「環境問題」は典型的な「やっかいな問題」です。したがってその解決自体も定式化できるものではなく、なるべく「小さな単位」で、現場に根ざしながら、試行錯誤を繰り返すプロセスしかないでしょう。現場でのアクターでもある環境社会学者たちが、この「複雑な問題をどう解決すればよいのか」という「やっかいな問題」に取り組んだのがこの本です。その意味で、これは「環境問題」に限らない、幅広い「社会問題」に取り組む人たちにもお役に立てる本だと考えています。

ISBN: 9784787724069
発行日: 2024.3.10
体裁: 四六判・296ページ
定価: 本体価格2500円+税
出版社: 新泉社
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

序章 複雑な問題をどう解決すればよいのか 宮内泰介

 

I 現場に根差して問題のとらえ方を変える
第1章 「生活」の論理から基地問題の解決を考える 熊本博之
第2章 生業の論理から林業と中山間地域の課題を考える 家中 茂
第3章 話し合いから歴史的環境の継承とまちづくりの課題解決を考える 森久 聡
コラムA 「よそ者」として地域に寄り添う 岩井雪乃
コラムB 防潮堤をめぐる地域の声と環境社会学の実践 山下博美

 

II 知識と資源を使って協働のプロセスを生み出す
第4章 多様な人材との共創で価値を転換する 鈴木克哉
第5章 多層的なガバナンスから流域環境問題の解決を考える脇田健一
第6章 統合知を生かして複雑な課題に取り組む 佐藤 哲
第7章 社会実験による解決を考える 丸山康司
コラムC 「評価」を使って問題を解決する 菊地直樹
コラムD 環境社会学の知見を政策の現場に生かす 嘉田由紀子

 

III 問題解決のための場をつくる
第8章 ミニ・パブリックスで公論形成の場をつくる 三上直之
第9章 順応的な社会運動で解決を考える 青木聡子
第10章 公共圏の活性化によって解決を考える 茅野恒秀
終章 小さな単位から出発する環境社会学の問題解決 宮内泰介・三上直之