2024.1.31

「人種か、階級か」を超えて

大恐慌期アラバマにおけるコミュニストの闘い
著者名:
ロビン・D・G・ケリー著
村田勝幸訳
文学院・文学研究院教員:
村田 勝幸 むらた かつゆき 教員ページ

内容紹介

冷戦の終焉が迫るなか、ひとりの23歳の黒人大学院生がアラバマ州バーミングハムにいた。彼は散逸した史料を渉猟し、関係者への聞き取りで空白を埋めて大恐慌期アラバマの労働史、とりわけ黒人労働者とコミュニストの関係に注目した歴史を紡ぎ出した。本書は、「1930年代のアラバマについての歴史」にとどまらない。人種や階級、ジェンダー等の連動性ないし交差性を考える鍵や、歴史理解自体をめぐる重要な示唆がそこにある。

著者からのコメント

“古典”に帰れ!
アメリカ歴史家協会エリオット・ルドウィック賞など多く受賞したオリジナル版の刊行から30年以上も経つ本書は、ロビン・ケリーの数ある著書のなかでも最もリアクションが多いという。翻訳は2015年に刊行された25周年記念版を基としているが、本書は新たに「日本語版への序文」を収録している。「インターセクショナリティ(交差性)」も、BLM(ブラック・ライヴズ・マター)で知られた「警察の残虐行為(ポリス・ブルタリティ)」も、理解の鍵は歴史にある!

ISBN: 9784779129551
発行日: 2024.1.31
体裁: A5判・490ページ
定価: 本体価格5,700円+税
出版社: 彩流社
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

日本語版への序文
二五周年記念版への序文― 「ハンマーと鍬」の数奇な経歴
序文

プロローグ ラディカルな起源― バーミングハム、一八七〇~一九三〇年

第一部 地下― 一九二九~一九三五年
第一章 見えない部隊― 仕事、救済、そして運動の誕生
第二章 エジプトランドにて― 分益小作人組合
第三章 組織化するか、さもなくば飢えるか!― コミュニスト、労働、そして反ラディカルの暴力
第四章 困難のただなかで― 人種、性別、そして国際労働防衛(ILD)
第五章 ニグロは黒じゃねぇ、そうじゃなくて赤だ!― 黒人コミュニストと対抗文化

第二部 ボルシェヴィズムから立ち上がりて― 一九三五~一九三九年
第六章 合法性獲得への道― バーミングハムの人民戦線、一九三五~一九三七年
第七章 南部諸州に産業別組合会議(CIO)あり!
第八章 旧奴隷、ニューディールーコミュニストと公共事業促進局(WPA)
第九章 アラバマ農村部の人民戦線
第一〇章 民主戦線

第三部 塹壕に戻る― 一九三九~一九四一年
第一一章 南部青年の行進!

エピローグ 黒人へと消え入る一 戦争、革命、そしてその先の見えない部隊
訳者あとがき