〈特集図書展示No.31〉表紙に植物が配された 展示詳細

書香の森・特集図書展示の更新を行いました。今回は書香の森で開催されている企画展示「癒しの植物画展」にちなみ、表紙に植物が配された書籍を紹介します。

  • 展示期間: 2023年12月8日(金)〜2024年2月29日(木)

展示図書リスト

華語文学の新しい風 ― サイノフォン — 1

(劉 慈欣、ワリス・ノカン、李 娟 著 王 徳威ほか 編 田村 容子ほか 訳 白水社)

表紙紹介: 吹き抜ける風を感じさせる装画は、サイノフォン(「華語語系文学」世界に広がる中国語)を体現するような、マレーシア出身・台北在住の華人アーティスト馬尼尼為さんによるものです。バティック(マレーシアのろうけつ染め布地の特産品)のモチーフを参考にハイビスカスを図案化したものだと思われます。サイノフォンシリーズでは、陰影に富みつつも飄逸な風格の装画を提供してくださっています。
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からまりあい重なりあう歴史 ― 植民地朝鮮の文化の力学

権 錫永 著 北海道大学出版会)

表紙紹介: 本書の第4章、第5章は、日本の植民地だった朝鮮の国花・ムクゲ(無窮花)と帝国日本の国花・桜の絡まりあう歴史を書きました。朝鮮の人々は花期の長いムクゲを国家のシンボルとすることで自国の永遠を祈念しました。その後、朝鮮が日本の植民地になり、ムクゲが統制を受けるなか、桜と日本の花見文化が普及すると、人々は桜の花見に熱を上げるようになっていきます。表紙の写真に写っているのは、桜の名所となった旧王宮で桜を楽しむ朝鮮の女性たちの姿です。
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優しい語り手 ― ノーベル文学賞記念講演

(オルガ・トカルチュク 著 小椋 彩、久山 宏一 訳 岩波書店)

表紙紹介: 表紙挿画は、2017年出版の絵本『迷子の魂』をオルガ・トカルチュクと共作したヨアンナ・コンセホの作品で、タイトルは「音楽」。
調和的世界観を映し出す、優しくて美しい一枚が、ノーベル文学賞記念講演『優しい語り手』の内容にぴったりだと使用をオファーしたところ、快諾してくれました。
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誰のための熱帯林保全か ― 現場から考えるこれからの「熱帯林ガバナンス」

笹岡 正俊、藤原 敬大 編 新泉社)

表紙紹介: ここに写っているのはアブラヤシプランテーションです。インドネシアでは、1990年代半ば以降、農園企業が広大な土地を囲い込んでプランテーションを造成してきました。整然と管理され、一見すると美しい「森」ですが、地域の人びとが利用できない森です。熱帯林の保全が叫ばれて久しいですが、それはいったい誰のための保全なのか。それを問う本書の表紙に、企業のための土地利用の典型としてこの写真を使うことにしました。
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ゼロから話せるブルガリア語

菅井 健太 著 三修社)

表紙紹介: ブルガリアはバラの栽培や質の高いローズオイルの生産で有名です。毎年5月末から6月上旬頃にバラの谷と呼ばれる地方の各地で行われるバラ祭りでは、民族衣装を身につけた人々が見渡す限り一面のバラの畑で手摘みでバラを収穫したり、町でパレードやイベントが行われます。表紙の写真は、民族衣装を着た女性がバラの収穫を行う一場面を切り取ったものです。
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堤中納言物語の真相

後藤 康文 著 武蔵野書院)

表紙紹介: 『堤中納言物語』中の一篇『逢坂越えぬ権中納言』は、天喜三年(1055)五月三日の六条斎院禖子内親王家物語歌合時に提出された作品で、菖蒲の根合を題材としています。本書表紙デザインはこれに因んだものです。
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