2022.11.05

華語文学の新しい

サイノフォン――1
著者名:
劉 慈欣、ワリス・ノカン、李 娟(著)
王 徳威ほか(編)田村 容子ほか(訳)
文学院・文学研究院教員:
田村 容子 たむら ようこ 教員ページ

内容紹介

サイノフォン(Sinophon)とは、いま国際的に注目を集めている新たな文学の概念です。中国語では「華語語系文学」とも呼ばれ、「華語」という言葉は、さまざまな方言が入り混じりながら、中国国内にとどまることなく、世界に広がる中国語を指しています。

本書は、「中国大陸で」「中国語で書かれた」「漢民族の」文学が中心とみなされてきた「中国文学」に、新たな面から光を当てようとする試みです。中国大陸、香港、台湾、東南アジアなどの地域をまたぎ、多様な民族の文化、植民地の歴史、国家や政治に対する問い直しをも含みながら発展してきた華語文学を、短編の選集によってご紹介する一冊です。

著者からのコメント

本書に収録された短編の一つ、中国の作家・楊顕恵(1946-)の「上海から来た女」を翻訳しました。甘粛省蘭州に生まれた楊顕恵は、中国で「右派」と呼ばれた政治犯たちの収容所生活を描く『夾辺溝記事』(2002)など、現代中国では忘れ去られようとしている歴史を、関係者の口述記録にもとづく文学作品として発表しています。

「上海から来た女」は、中国の映画監督・王兵の劇映画『無言歌』(2010)の原作として知られていますが、楊顕恵の邦訳としては本邦初です。いずれ、同作を含む『夾辺溝記事』シリーズ全体の翻訳を手がけてみたいと考えています。

ISBN: 9784560098752
発行日: 2022.11.05
体裁: 四六判・368ページ
定価: 本体価格3,200円+税
出版社: 白水社
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

Ⅰ 風土から見えてくるもの
Ⅱ はるかな音とイメージ
Ⅲ 根ざすものと漂うもの
Ⅳ そしてまた歴史へ