若手研究者支援セミナー「学振特別研究員の申請に向けて準備は1年前から!」開催されました

4月20日(火)に文学研究院研究推進委員会主催の若手研究者支援セミナー「学術振興会特別研究員DC・PD申請書の書き方セミナー2021~学振特別研究員の申請に向けて―準備は1年前から!~」がオンラインで開催されました。日本古典文化論研究室、哲学倫理学研究室、行動科学研究室、東洋史学研究室にそれぞれ所属する4人の現役学振特別研究員に話題を提供していただき、自身の体験を踏まえたお話と実践的なアドバイスを伺いました。

セミナーのサブタイトルは、2017年度から継続して「準備は1年前から!」。と題し、セミナーを開催する年の5月申請のためのセミナーではなく、翌年5月の応募を目指す若手研究者を対象に開催しています。実際に申請書に着手するのは年明けから年度末にかけた提出前の2~3月ころが一般的かもしれません。ですが、本当の準備は、学振特別研究員制度について情報収集をするところから始まり日々の研究の中で自分の研究テーマや博士後期課程への進学やポスドクなどキャリアプランを考えていくことまで含まれていることを参加者に気付いてもらう機会になるよう企画しました。

今回のセミナー開催は、北大のBCPレベルが昨年から2を維持しており学内施設への出入りや対面授業が制限されていることを考慮し、昨年度と同じくオンラインでの開催となりました。話題提供者の協力のもとオンデマンド用音声入り動画を準備、参加者が都合のよい時間に何度でも事前に視聴できる方式を取りました。セミナー当日は話題提供の動画を既に視聴した参加者向けに、学振特別研究員制度に関する概要説明と情報提供、教員コメンテーターからのアドバイス、動画の内容に関する質疑応答を同時配信しました。オンライン開催は2回目でしたが、今年も他部局を含めた多くの大学院生が参加しました。

オンデマンド話題提供では、4名の現役学振PDがそれぞれ
“実現可能に「みせる」 “平成31年度DC2採用の末森晴賀さん(東洋史学研究室)
“異なる分野の人にもわかりやすい申請書を作るには”令和2年度DC1採用の舘石和香葉さん(行動科学研究室)
“~申請準備としての情報収集~”令和2年度DC2採用の竹内洪介さん( 日本古典文化論研究室)
“業績と自己アピール”令和2年度DC2採用の西本優樹さん(哲学倫理学研究室)
と題し、4者4様4分野の内容を音声とpptで分かりやすく説明しました。

セミナー当日は、まず始めに本セミナー開催主旨と”日本学術振興会学振特別研究員とは何か?”について研究推進委員長の藏田伸雄先生(哲学倫理学研究室・教授)から話題提供がありました。学振特別研究員PD/DCおよびRPD制度の概要や採用された際の具体的なメリット、実際に申請する大まかな流れ、申請様式の変更点についてたくさんのスライドを用いた説明がありました。

 

次に、教員コメンテーターの大沼進先生(行動科学研究室・教授)と宮嶋俊一先生(宗教学インド哲学研究室・教授)から話題提供に関するコメントがあり、続いて参加者から寄せられた質問に対し話題提供者と教員から回答しました。

    

教員コメンテーター&話題提供者と質疑応答

研究計画や内容、気を付ける点について特に申請書を実際に読む多忙な審査者の立場になって考えること、とアドバイスがありました。具体的には、

  • どんな研究なのか読んでいくうちに分かるのではなく、最初の“つかみ”でインパクトを与えること
  • 分かりやすいこと、研究の楽しさやワクワクする部分が伝わること
  • “ひらめき”があるかどうか、将来的に大化けするかも?という可能性が見えること
  • 壮大すぎたり広すぎたりしないよう、実現性を見据えて現実路線であること
  • 自分の研究を客観的にとらえ、今までやってきたことと「だから/しかし」これをやる、というストーリーを記述すること
  • 一本筋が通っている、軸がぶれないこと

が大事ということです。
また、申請時のコツとして、審査セットの選び方や研究テーマの変更についてのアドバイスもありました。

  • 過去に、その審査セットで採用された人の研究内容や業績はどのくらいか?
  • あえて自分の専門とは異なる分野の審査セットで新しい切り口を見つけ、他の申請者との差別化を図る
  • 修士課程から博士後期課程へ進学する際に、テーマをガラッと変えることもあるが、修士課程のうちからコツコツ研究すること

教員コメンテーターの大沼先生からは、「申請書はできるだけ早く書き始めて、研究室内外のいろんな人に見てもらうこと。落ちてもガッカリせず民間助成や他の奨学金などもどんどん申請してみること」、宮嶋先生からは「試行錯誤を重ねた結果うまくいった部分を提供してもらっているので、失敗を糧にあきらめずにがんばってほしい。自分が研究で何をやりたいのかを明確にして、そこから広げていってほしい」というコメントがありました。

コメンテーター以外の教員からもアドバイス(中村教授・小川准教授・藏田教授)

当日は、修士課程、博士後期課程の大学院生を中心にポスドクとあわせて計26名の方が参加しました。アンケート結果では、全員が「役に立ちそうだ」と回答(有効回答12名・回収率46%)。自由筆記欄には、「実際に申請時に気を付けたことを具体的に教えていただけたのが特によかった」等のコメントが寄せられました。

今年度も、2022年2~3月頃に実践編として「申請書の書き方相談会」を開催する予定です。当日は教員による話題提供と併せて、審査経験のある教員と現役学振特別研究員による個別相談会も設けます。作成中の申請書(仮)や草案を持ち込み、相談員からアドバイスをもらうことも可能です。また、実際にこれまで採択されたDC・PD・RPD・外国人特別研究員の申請書類を閲覧できるブースを設けますので、どうぞ奮ってご参加ください。
過去の学振特別研究員「申請書の書き方相談会」:
2021.3開催 https://www.let.hokudai.ac.jp/news/17098
2020.2開催 https://www.let.hokudai.ac.jp/news/14483
2019.2開催 https://www.let.hokudai.ac.jp/news/13718

【若手研究者支援情報配信】
若手研究者(主に大学院生、ポスドク、助教)向けの助成金や共同研究、セミナー・イベント情報を配信しています。
メーリングリスト登録希望の方は、研究推進室までご連絡ください。
若手支援案内 https://www.let.hokudai.ac.jp/general/research-support#1-4
【助成金に関し、参考になるデータベース】
〇コラボリー(COLABORY)https://www.colabory.com/grants/
詳細検索で「奨学・育英」目的を選ぶと、学生向けのものが検索できます。
〇助成財団センター http://www.jfc.or.jp/
助成プログラム検索で「奨」がついている事業形態を選ぶと学生向けの奨学金が出てきます。
助成金検索にご活用ください。
【学内研究資金情報】
〇URAステーション https://u4u.oeic.hokudai.ac.jp/research-grants/
研究資金だけではなく、論文投稿支援などの情報もあります。