34 北大人文学カフェ哲学者と考える「人生の意味」開催されました

2024年11月23日(土・祝)、第34回北大人文学カフェが開催されました。今回は“哲学者と考える「人生の意味」”と題して、話し手の蔵田伸雄教授(哲学倫理学研究室)に、「人生の意味」について「哲学的に」考えることについてお話しいただきました。お話の後は参加者の皆さんと質疑応答を通して交流しました。当日は、オンラインを含め180名の方に参加いただき、事後視聴は167回ご覧いただきました。

第1部は、蔵田先生のトークの時間です。参加者のみなさんに事前に「人生の意味」に関する以下の5つの質問をして、回答していただきました。

  1. 人生に「意味」はあるか。
  2. 人生の意味は「見つけるもの」か「つくるもの」か
  3. 人生の意味は「感じるもの」か「わかるもの」か
  4. 人生の意味は心のなかにあるのか自分の外側にあるのか
  5. 人生の意味は英語で“Meaning of Life”か“Meaning in Life”か

この問いをもとに「人生の意味」を「哲学的に」考えるということはどういうことかを、参加者の皆さんとともに考えていきました。

聞き手の哲学倫理学研究室の河村菜那さん(文学院修士1年生)や会場の皆さんに問いかけながらトークを進める蔵田先生

トークの前半では「人生の意味」についてChatGPTの回答を紹介しながら、一般的にはこのような回答でもよいかもしれないと説明しました。後半では、「人生の意味」について学問的にどう考えればよいかについて、現在哲学研究の最先端で議論されている「人生の意味」に関する5つの問いを中心に、参加者の皆さんの回答も紹介しながら解説しました。

休憩時間に会場から寄せられた質問カードに目を通す蔵田先生と、質問カードの整理をする哲学倫理学研究室の学生さん

第2部は、参加者の皆さんからいただいた質問に蔵田先生が回答していく対話コーナーでした。聞き手の河村さんが、いただいた質問を紹介し、それに蔵田先生が順に回答していきました。

いただいた質問を紹介する河村さん(左)と回答する蔵田先生

フランクルやキルケゴールの思想と人生の意味の関係、悲観している家族にかける人生の意味のことば、主観的価値と幸福の違い、客観的立場では他人の人生の意味を判断できるか、「人生の意味」の哲学的な答え・真理は今後見つかるのか、人生の意味と肉体との関係、経験による人生の意味の変化、蔵田先生のMeaning in Life、人生の意味は定量可能か、文学を用いて哲学する手法について、Meaning of LifeとMeaning in Lifeの違い、主観説と客観説の違い、人生の意味が新しい問題である理由、「意味」の意味、自殺と人生の意味について、など多くの質問をいただきました。すべての質問に回答できず申し訳ありませんでした。

参加された方からは、「人生の意味を考えるというなかなか普段意識的に行うことのない経験をさせてもらったと同時に、哲学を道具にして皆さんと一緒に考えるという視点でやさしく(優しく・易しく)ご講演くださったのが大変満足した」「“人生の意味”は見出すことができてはいないが、考えるための“前提”や“方針”を頂けた」「人生の意味を考えることに意味がある、と考えることができた」「学問的に“意味”の問い方を分析できるということに驚きを感じました」「自分とは異なるアプローチで物事を考えるきっかけになった」「皆様からの質問とそれに対する回答もおもしろかった」「オンライン視聴できたので、家族がそれぞれどのような考えなのか話し合いながら視聴できた」等、多くの感想をいただきました。どうもありがとうございました。