書香の森・特集図書展示の更新を行いました。
今回は長い間北海道大学で教鞭をとってこられ2024年度末で定年退職を迎えられる教員に、自著の中から1冊を選びコメントをいただきました。
- 展示期間: 2025年1月17日(金)〜2025年4月18日(金)
展示図書リスト
エリアーデ=クリアーヌ往復書簡1972—1986
(ミルチャ・エリアーデ、ヨアン・ペトル・クリアーデ 著テレザ・クリアーヌ=ペトレスク+ダン・ペトレスク 編佐々木 啓+奥山 史亮 訳 慶応大学出版会 2015年)
〈教員コメント〉
41歳という若さで非業の死を遂げた宗教学者I. P. Culianuと、自他ともに彼の師と認めるわが国でも著名な宗教学者M. Eliadeとの、彼らの母国語のルーマニア語で書かれた往復書簡集です。宗教学のみならず、「学問」や「研究者」たちの在り方そのものを垣間見ることのできる貴重な記録だと思います。
あまり良い文法書や辞書がないなかで、北大に留学中のルーマニア人学生にも助けてもらいながら、原語ルーマニア語からの翻訳を完成させました。ブカレスト大学の日本語学科や、偶然の機会にも恵まれ、2016年当時のルーマニアの文部大臣にも、本訳書を献呈することができました。
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ローマ建国以来の歴史7 ハンニバル戦争(3)
(リウィウス 著/砂田 徹 訳 京都大学学術出版会 2024年)
〈教員コメント〉
研究書ではなく古典の翻訳ですが(リウィウスはアウグストゥス時代の歴史家)、退職前の数年間を費やしただけにそれなりの思い入れがあります。同じシリーズを訳しているローマ史研究者から、われわれの研究書よりこちら(リウィウスの翻訳)の方が長く参照されますよと言われ、納得しながらも複雑な心境です。
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縄文のマツリと暮らし
(小杉 康 著 岩波書店 2003年)
〈教員コメント〉
我が半生を振り返り、各20年余の3期に区分した際の第2期(青雲志の期)の研究成果をまとめた、北大赴任当初に書き下ろした図書です。縄文前期の木の葉文浅鉢形土器と晩期の動物形土製品といった象徴的器物を題材にした研究です。両者に共通する人と人、動物と人の水平的な対称関係は第3期の主要テーマにつながります。
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論語 珠玉の三十章
(𢎭 和順 著 大修館書店 2007年)
〈教員コメント〉
本書は、全学教育の「思索と言語(『論語』入門)」の授業内容とその教材に基づいて、執筆しました。この授業は、ほぼ毎年度担当したことから、これまでの受講者総数は、一千人に及ぶかと思います。過日、とある同窓会で、二十数年前の受講者と再会し、この授業の話になりましたので、思い出の一冊に挙げることにしました。
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学芸員がミュージアムを変える! 公共文化施設の地域力
(今村 信隆、佐々木 亨 編著 水曜社 2021年)
〈教員コメント〉
第1期「学芸員リカレントプログラム」(2018−2020年度)の成果として発行しました。これまで閉鎖的で権威的な傾向にあったミュージアム経営の「とびら」を、どんどん開いていく試みが、プログラムにはたくさん詰まっていました。この世界観が第2期プログラム(2022-2024年度)にも継承されていてうれしい限りです。
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