11月14日(木)、札幌北高等学校視聴覚室にて、橋本雄准教授が「戦国時代の”茶の湯”資料を読む ―村田珠光の日本文化論」と題して読書会を開催しました。この読書会は、文学研究院の広報委員会が文学部・文学研究院の教育研究の一部を紹介する目的で、札幌北高校関係者のご協力のもと企画されました。
今回の読書会でとりあげた本は、文学研究院ライブラリの『かなしむ人間 ―人文学で問う生き方』です。橋本先生は「珠光の嘆き ―『心の一紙』を読み解き、『和漢の境をまぎらかす』を考え直す」というタイトルでこの本の第6章を執筆されています。読書会は、村田珠光「心の一紙」を題材に、この歴史史料を読み解きつつ、その内容を自分の身の回りのこととして考えてみるという流れで進められました。
読書会は、橋本先生の講義から始まりました。村田珠光の生きた時代の解説の後、珠光の「心の一紙」に対する従来の解釈への疑問、読み解く過程で見つかる表現や主張の矛盾とその解釈について参加者の皆さんに問いかけがありました。生徒の皆さんは、グループに分かれて、語法・文法・文脈の視点から問われた内容について話し合いました。

グループワークの後、橋本先生からさらに詳細な説明があり、疑問や内容のパラドクスを読み解きました。さらに、史料に書かれた内容を、具体的に現代の自分たちの生活の中に落とし込めるか、珠光の主張を実感・実践できるか、という内容で再びグループワークを行いました。

グループごとに話し合いの内容を発表し、それに橋本先生がコメントしていきました。最後に、橋本先生から、史料を的確に読むために必要なポイントを紹介し、お話を締めくくりました。

参加した生徒さんからは「百年以上前の茶の湯の世界から、現代に生きる考えを導き出すことができることに驚いた」「ひとつの資料から様々なことを汲み取ることができ、普段の日々を見つめ直すことができることが面白かった」「短い文章から多くの深い仏教観を学べた」「宗教学は、日本史や文化にも密接に関係していることがわかった」「今後の日本史や古文の授業をこれまでとは違った視点で受けることができる」「古典に限らず他文化を理解する上で必要な考え方を教えていただきました」など、多くの感想をいただきました。
読書会の後は、進路説明・相談会の時間です。川端広報委員長と、大学院生の吉田さんから文学部の紹介と、進路についてお話がありました。
