留学先: オレゴン大学(アメリカ合衆国)
人間システム科学コース 学部3年生
神 明里(じん あかり)さん
私は、今後の卒業論文執筆に役立つであろう、オレゴン大学の特徴である認知科学的な心理学を学ぶこと、また、長期間海外で生活して多様な価値観を身につけること、という大きな二つの目的のためにオレゴン大学へ留学しました。3ヶ月という、交換留学としては短い期間ではありましたが、当初の目的以上に多くのことを学ぶことができました。
第一に、オレゴン大学の授業を通して、今後の研究課題を考える材料を得ることができました。例えば、私が受講した「Culture & Mental Health (文化とメンタルヘルス)」という授業では、精神疾患、さらには精神疾患の治療法にも文化差を考慮する必要があることを学びました。私が北海道大学で学んでいる国家間の文化差というよりも、この授業で主に注目している文化差はアメリカ国内における文化差でした。「アメリカ」という国レベルのくくりでしかアメリカを考えておりませんでしたが、この授業、特にアメリカ人学生とのディスカッションを通して、アメリカ国内における各州の文化差や人種の違いなど、アメリカ国内の文化差を深く考えることができました。
第二に、当初の目的では想定しておりませんでしたが、自分で困難を乗り越える力を身につけることができました。約10週間の授業週にも関わらず、ぞれぞれの授業で2~3回の中間テスト、期末テスト、また中間課題や期末レポートがあったため、ほとんど毎週のようにテストがありました。授業についていくためには予習が、テストや課題でいい成績を取るためには復習が必須であるため、留学中は必死で勉強しました。今、留学を終えて振り返ると必死に勉強できたことは大変貴重で有意義な経験でしたが、アメリカに滞在中「つらい」と思うこともありました。しかし、授業やテスト、課題を日々積み重ねていくうちに、英語で教科書や文献を読むスピードが速くなり、結果として、英語で学ぶことに積極的になりました。実際に少しずつテストや課題の成績を上げられたことから、困難を乗り越えることができる、という自信獲得につながりました。
また、留学目的の二つ目に関連して、外から日本や北海道を俯瞰的に捉え考えることを学びました。交換留学前に短期プログラムで海外に数度、2~3週間滞在した経験が影響して、交換留学前は「海外へ出向くこと」ばかりに関心を持ち、いかに海外のものを日本に取り入れて日本の発展に貢献することができるかどうかを考えていました。しかし、今回ある程度長期間アメリカに滞在し、「外から日本を見る」という視点を以前の短期プログラムとは異なる意味で獲得できたと思います。これから日本が発展していくためには、海外のものを取り入れることだけではなく、日本を海外へ発信していくことも大切なことだと感じました。アメリカで生活してみて、自動車などの産業・工業面では、日本の海外への発信は成功しているようでしたが、文化面ではまだまだ足りていないように見えました。将来は、日本や北海道を文化面から発信できるような仕事に就きたいと考えています。
留学は人それぞれ異なる体験になりますが、きっと皆さんの何かを変える体験になるはずです。みなさん、ぜひ留学に挑戦してください。