メイク人々を笑顔にしたい!接客の引き出しは多彩な学部教育から

プロフィール

奈良 茉由子 さん(化粧品会社の美容部員として勤務)
青森県弘前市出身。青森県立弘前高等学校卒業後、2018年4月に北大文学部に入学。文学部では哲学・文化学コース/芸術学研究室を選択し、舞台芸術について学ぶ。2022年3月に卒業、同年4月より化粧品会社の青森オフィスに所属し、地元弘前市で美容部員として勤務している。

北大文学部を選んだ理由

オープンキャンパスに行ったときに大学構内の景色や雰囲気が気に入ったからです。他の国公立大学のオープンキャンパスに行った時よりも、「ここで学ぶことができる」ということに期待感を持ちました

芸術学研究室を選んだ理由は、元々美術鑑賞が好きだったからと、芸術について幅広く学ぶことができると思ったからです。

文学部ではどんな研究を

卒業論文では、アメリカ亡命時代のシャガールによる舞台美術作品について取り上げました。シャガールの〈アレコ〉は、バレエの背景画として制作された全4点の作品で、青森県立美術館に3点、フィラデルフィア美術館に1点が収蔵されています。現在はフィラデルフィア美術館の収蔵する1点も青森県立美術館に借用されており、すべての作品を揃って鑑賞することができるようになっています。

幼い頃に青森県立美術館で目にした〈アレコ〉に圧倒され、大学ではその作品と作者について研究しました。〈アレコ〉に用いられているモチーフについての意味合いや、シャガールの舞台美術制作においての向き合い方について、シャガールの生涯や生きた時代・背景を踏まえて考察しました。

北大文学部に行ってよかったですか

よかったです。

芸術学研究室では、絵画や彫刻作品といったイメージしやすい「芸術」だけでなく、陶磁器や舞台美術、写真など幅広い芸術についてアプローチできるので、同じゼミでもいろいろなジャンルに触れることができて興味深かったです。また、作者の思想も作品には大きく影響してくると思うので、制作物だけでなく人間にも迫ることができるのも面白かったです。

在学中、大変だったことは

2019年以降、コロナ禍でなかなか外出ができなくなり、実際に作品を観に行くことができなくなったのは大変でした。学業に加えて、所属していた演劇サークルの公演ができなくなったのも、継承の面で不安になりました。

卒業後から現在までの道のり

大学在学中に所属していた、演劇サークル「劇団しろちゃん」で衣装・メイクの担当をやったことがきっかけで、メイクを通して人々を笑顔にしたいと思いました。そこで、美容部員としての就職を決めました。

コロナ禍での就職活動でした。説明会やインターン、選考は、一部対面もありましたがほとんどがweb上で行われていました。移動が少なかったため、時間や費用には余裕があった方だと思います。

就職活動中にもっとやっておけばよかったと感じたことは、同じ業界・会社を受ける人たちとコミュニケーションをとることです。SNS上で情報交換ができるだけでもかなり対策が立てやすくなると思います。

私はコロナ禍で人に会ったり話したりする機会が激減し、あまり多くの人に相談できず、途中で就職活動がとても苦痛になってしまいました。一人で抱え込みきれなくなる前に、もっといろんな人に相談するべきだったと思います。

現在のお仕事の内容

現在は美容部員として働いています。接客・化粧品の販売が主な業務です。店頭でお客様のお肌やメイクのお悩みを伺い、一緒にお悩みを解消できるようにカウンセリングを行っています。

大学で学んだことは今のお仕事に役に立っていますか

役に立っています。学部で専門で学んだことはもちろんですが、教養科目でより幅広い分野の講義を履修できたのがよかったと思います。接客でたくさんのお客様とお話するときに、話題にできる引き出しを増やすことができていたと思います。

今後の目標・夢

地元弘前で演劇に携わり続けていきたいと思っています。中学・大学で演劇部/演劇サークルに所属してきたものの、弘前での演劇コミュニティには就職で戻ってくるまで全く触れてこなかったのが惜しかったと思っているので、これからもっと演劇が好きな人・やりたい人と接していきたいです。

博物館実習の際に、小学生か中学生の団体の訪問に立ち会った時に、美術館に行ったことがない、と手を挙げる生徒が多かったことに驚きました。美術館や博物館・文学館など芸術鑑賞の場に、子どもたちが足を運びたくなるような企画にも、もっと関わっていければと思います

↑博物館実習でお世話になった弘前れんが倉庫美術館で当時開催されていた、2021年度秋冬プログラム「りんご前線-Hirosaki Encounters」

 
弘前にいると、「なんにもない」と地元を評する言葉を受けることが多いのですが、私自身は一度県外に出てから弘前に戻ってきたことで、気づけていなかった弘前の魅力に気づくことができたと感じます。弘前を「なんにもない」と思っている方に、もっと自分の地元に「あるもの」に気づいてもらえるようになれば良いなと思います。

2024年の弘前さくらまつりにて。さくらの名所弘前の魅力を今後も伝えていきたい

後輩のみなさんへのメッセージ

文学部では、幅広い文系分野に触れることができます。少しでも人間の営みに関心があるかも、と感じる方はきっと熱中できるものを見つけることができる場所だと思います

卒業後の進路も様々で、「文学部ってなにするの?」と聞かれることも多かったです。でも、それだけやれることが多いという証拠だとも思います。少しでも興味があれば、ぜひ文学部を学びの場として選んでみてはいかがでしょうか。

(2024年8月取材)