大学院で鍛えた知識、スキル、マネジメント力!

プロフィール

柴田 翔平 さん(株式会社ブレインパッド 勤務)
北海道札幌市出身。札幌市立新川高等学校を卒業後、2013年に北海道大学文学部に入学。文学部卒業後、2017年に北海道大学文学研究科思想文化学専攻哲学倫理学専修*に入学。大学院では神経科学の哲学に関する研究を行う。2019年3月修了、同年4月より株式会社ブレインパッドに勤務、機械学習を用いた業務システム開発のプロジェクトを担当。

*2019年4月の改組により、文学研究科は文学院に、思想文化論専攻は人文学専攻に統合、哲学倫理学専修は哲学倫理学研究室になりました。

北大文学研究科(哲学倫理学研究室)を選んだ理由

学部から北大文学部に属しており、修士課程への進学を考えた際に幅広い分野の研究ができる北大文学研究科を第一の選択肢として選びました。当初は、学部生の時と同じテーマの研究を行おうと考えていたのですが、田口先生の授業で哲学と神経科学の関連の話に触れるにつれて関心を持ち、最終的にはそちらを研究テーマとして修士論文を書きました。

大学院ではどんな研究を

神経科学と哲学の学際領域に関する研究を行っていました。予測符号化という神経科学における理論の、哲学における知覚研究に対する含意をテーマとしていました。

大学院に行ってよかったですか

自分の関心の幅を広げることができたという点で大学院へ進学してよかったなと思っています。もともと自分が考えていたテーマとは異なる研究で修士論文を書きましたが、修士課程に行かなければそのテーマに関心があるということに気がつくこともなかったので。

在学中、大変だったことは

一番大変だったことは自分の興味関心を制御することでした。大学院では様々な分野の授業を受けることができ、また他の人の研究についても見聞きする機会が多かったため、自分の研究テーマ以外についてもさまざまな分野に関心を持っていました。ただ、修士課程はあまり長くないため、その中から一つに絞る必要があり、その選択に苦労した記憶があります。

修了後から現在までの道のり

修士課程を経て研究に関してできることも増えたため、博士課程への進学も検討していましたが、最終的には民間企業への就職を選択しました。というのも研究を通して、研究のテーマそれ自体だけでなく、データ分析やその結果を用いた企業活動の支援というのにも興味を持ったためです。そこで、研究手法として用いることがあった統計学の知識を活用できる仕事に主眼を置いて、就職活動を行いました。「データ分析」や「機械学習」といったキーワードに関連する会社に応募し、その中から今の会社に入社することとなりました。

現在のお仕事の内容

現在はデータ分析の会社で、機械学習を用いた業務システム開発のプロジェクトに携わっています。クライアントの業務に関するヒアリングからシステムの設計、コーディング、機械学習モデルの管理、業務プロセスの改善まで、機械学習による業務課題解決に関して幅広く手掛けています

仕事は基本的に在宅勤務。写真はウェブ会議中のようす。
仕事の後は妻と食事に行くことも。

大学院で学んだことは今のお仕事に役に立っていますか

授業や研究を通して学んだ論理学や統計学に関する知識は、現在業務で用いているプログラミングや機械学習を学習する上で大変助けとなりました。それだけでなく、物事を筋道立てて考えるための方法や、論文を書く際に必要とされる、期限から逆算してスケジュールを立てる力など、今働く上での基礎となる部分については大学院で学んだことが大いに役立っていると考えています。

今後の目標・夢

より大規模な仕事を任されるようになりたいなと思っています。今は自分一人や自分と上司の間で完結する規模の仕事が多いですが、自社のメンバーやクライアントを巻き込んでより社会的にインパクトのある成果を出せるようになりたいなと思っています。

後輩のみなさんへのメッセージ

修士課程はあまり長くはありませんが、学部で基礎を身につけていればそれを生かして自分の興味を追求できますし、その過程でその後の人生につながる様々な力を鍛えることができます。「文学部で大学院に進学すると就職に困る」という話を頻繁に聞きますが、少なくとも自分の場合は全くそんなことはなかったですし、就職に限らず様々な場面で役に立つ考え方を身につけることができました。少しでも研究に関心があるのであれば、大学院への進学を検討してみてはいかがでしょうか。

(2022年9月取材)