培ったリサーチ能力や分析力、論理的思考力をコンサル業務の武器に

プロフィール

屈 芸婷 さん(KPMGコンサルティング会社 勤務)
中国山西省出身。中国の大学を卒業後、2018年に北海道大学文学研究科言語文学専攻中国文化論専修*に入学。大学院では五山禅僧における蘇軾(そしょく)詩の注釈について研究を行う。2020年3月修了、同年4月より日本IBMでの勤務を経て、2023年4月よりKPMGコンサルティング会社に勤務、システム導入に関するコンサルティングを担当。

*2019年4月の改組により、文学研究科は文学院に、言語文学専攻は人文学専攻に統合、中国文化論専修は中国文化論研究室になりました。

北大文学研究科(中国文化論研究室)を選んだ理由

高校では文系科目に興味を持ち、特に文学と歴史に熱中しました。その後、中国の大学の文学部に進学し、中国文学を専攻しました。大学では、卒業論文として宋代の文人である蘇軾に関する研究を行い、その興味をさらに深めるために、北海道大学の文学研究科に進学しました。修士課程でも蘇軾を中心に研究を続けました。

北海道大学の文学研究科を選んだ理由は二つあります。

まず、大学時代に北海道を訪れた際、その美しい風景に深く感銘を受けました。北海道の自然環境の中で学ぶことができれば、自分の研究にとっても良い影響を与えると感じました。

また、近藤先生の研究に対する尊敬の念も大きな要因です。近藤先生は中国文化研究の分野での権威であり、その研究に感銘を受けました。直接指導を仰ぐことで、蘇軾に関する自身の研究をより深めることができると考えました。この二つの理由から、北海道大学の文学研究科を選びました。

大学院ではどんな研究を

修士論文のテーマは「五山禅僧における蘇軾詩の注釈について―『四河入海』を中心に」でした。

蘇軾は中国の宋代の著名な詩人・書家・政治家であり、その作品は日本でも非常に人気があります。私の論文は、日本の鎌倉時代の僧侶がどのように蘇軾の作品を解釈したかを探るもので、具体的には『四河入海』という注釈書を中心に研究しました。この研究の意義は、中日文化の違いと共通点を明らかにすることであり、私の研究を通じて、日本の文化や思想がどのように中国の影響を受けて発展したかを解明しました。

大学院に行ってよかったですか

はい、大変よかったです。大学院での学びを通じて、専門的な知識を深めるだけでなく、研究の進め方や論文執筆の技術を習得することができました。また、同じ志を持つ仲間や先輩、教授との交流も非常に刺激的で、貴重な経験となりました。

修了時の記念写真

在学中、大変だったことは

在学中に最も大変だったのは、膨大な文献の読解とそれに基づく論文執筆です。特に中国古典文学は膨大な量があり、古語の理解にも苦労しました。しかし、その過程で得られた知識やスキルは、今でも非常に役立っています

修了後から現在までの道のり

卒業後、就職活動に参加し、日本IBMに入社しました。その後、昨年KPMGコンサルティング会社に転職し、現在に至ります。

就職活動は順調でしたが、外国籍であるために言語や文化の違いからくる挑戦もありました。IBMでは主に部門のシステムアップグレードの支援をしていましたが、その仕事は非常にパターン化されており、個人的な成長の機会が少ないと感じました。現在の会社に転職した理由は、自分のアイデアをもっと活かし、成長できる環境を求めたからです。新しい仕事は前職とは全く異なる内容で、自己PRにおいて苦労しましたが、自分の学習能力と仕事に対する熱意を強調することで成功しました。

現在のお仕事の内容

現在は、KPMGコンサルティング会社に勤務しており、システム導入に関するコンサルティングを行っています。クライアントのニーズに合わせて最適なシステムを提案し、導入プロセスをサポートしています。現在は、ほぼ在宅で勤務をしています。

大学院で学んだことは今のお仕事に役に立っていますか

はい、非常に役立っています。大学院で培ったリサーチ能力や分析力、そして論理的な思考力は、現職においても欠かせないスキルです

今後の目標・夢

今後の目標は、現在の仕事でさらに経験を積み、単独で仕事をこなせるプロフェッショナルになることです。より複雑なプロジェクトをリードし、クライアントから信頼される存在を目指しています。また、継続的に学び続け、新しい知識やスキルを取り入れることで、仕事の質を高めたいと考えています。

後輩のみなさんへのメッセージ

文学院への進学を考えている方へ。大学院での学びは、あなたの視野を広げ、深い専門知識を得る貴重な機会です。大変なことも多いですが、その分得られるものは大きいです。自分の興味を追求し、熱意を持って取り組んでください。きっと素晴らしい経験が待っています。

(2024年8月取材)