20 北大人文学カフェ 「中国のマンガ??? 〈連環画〉世界」開催されました

7月22日(土)、紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデンにて、第20回 北大人文学カフェが開催されました。今回は「中国のマンガ???〈連環画〉の世界」と題して、話し手の武田 雅哉先生(文学研究科、中国文化論講座)に、時代の移り変わりとともに変化しながらも中国の人びとを魅了し続けてきた「連環画(れんかんが)」について、会場の皆さんと語り合いました。当日はおよそ60名の方にご来場いただきました。お越しいただいた皆さまに感謝いたします。

第1部は、連環画の誕生からその広がりと読まれ方について、中国の清朝から現代に至るまでの政治や文化の変化と照らし合わせつつ、武田先生が収集された数多くの連環画の解説がありました。中華民国時代には、政府から悪書とされながらもその人気は衰えず、時代変わって中華人民共和国の社会主義の政権下では、その影響力に目をつけた為政者からプロパガンダの道具にも用いられた連環画。さまざまな変遷を経ながらも、いつの時代も子どもたちや庶民に愛され続けた連環画の魅力を、武田先生が豊富な実例を用いて紹介していきました。いつの時代にも、また国や文化にかかわらずどこにでも見られるような落書きが紹介されると、会場中から笑いが起こり、笑顔の中、第1部を終了しました。

会場横には、連環画関連のポスター展示が行われるとともに、連環画の実物展示も行われました。
休憩時間やカフェの前後には、来場者が連環画の実物を手にとって連環画の世界を味わっておられました。
休憩時間中に、寄せられた質問カードに目を通す武田先生。質問を整理分類しているのは、武田先生の研究室の大学院生の倉さんと張さん。お二人とも中国からの留学生です。

第2部の最初に倉さんと張さんに、「中国にいた頃、連環画はどういった存在であったか」「武田先生のように日本で連環画を研究することをどう思うか」を伺いました。お二人とも、連環画の隆盛期は過ぎ、骨董品として価値づけされていた時期に子ども時代を過ごしたため、連環画のことは知っていてもそれほど身近なものではなかったそうです。また、中国では連環画の博物学的な調査研究は行われていないので、武田先生の研究が新鮮に感じられ、連環画への認識を改めたそうです。

日本に留学して知った武田先生の連環画研究の魅力について話す倉さんと張さん

その後は、会場からいただいた質問に武田先生が順に回答していく対話コーナーでした。連環画と中国政府との関わり、日本の漫画の影響、連環画の値段など連環画そのものに関する質問のほかに、武田先生の研究手法や先生ご自身に関する質問、広く中国文化に関する質問など、時には武田先生も驚くような多彩な質問をいただきました。武田先生は、ひとつひとつの質問に時にはユーモアを交えて回答していき、和やかな雰囲気の中、対話コーナーが終了しました。

終始笑顔で質問に回答する武田先生

2009年12月の第1回から、さまざまなテーマを取り上げてきた人文学カフェは、今回、第20回をむかえました。20回を記念して、会場ではこれまでのポスターとフライヤーを展示したギャラリースペースを設けました。

紀伊國屋書店の外側に向けて並べられた20回分のポスターとフライヤー。道行く人も足を止めてながめて行かれることがありました。