10回人文学カフェ「明治十五年の《アポロ讃歌》」開催されました

3月3日(日)、紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデンにて、第10回北大人文学カフェが開催されました。今回は、「明治十五年の《アポロ讃歌》ープラトンがつないだ古代ギリシアと日本」と題して、話し手の近藤智彦さん(文学研究科、倫理学講座)が、古代ギリシア音楽と明治の日本の音楽教育、それをつないだプラトンをテーマに、会場の皆さんと語り合いました。

当日は、荒天にもかかわらず約60名の方にご来場いただきました。寒い中お越しいただき、熱意で会場をあたためてくださった参加者の皆さまに感謝いたします。

第1部は、話し手のトークを中心に進行しました。なぜ明治十五年に古代ギリシアの音楽《アポロ讃歌》が日本で、しかも雅楽で演奏されたのか。プラトンがつないだ、とはどういうことか。そして、そのような明治の人々による古代ギリシアの音楽やプラトンの使い方は、果たして正しいのか。近藤さんのキーボード演奏や、雅楽版《アポロ讃歌》の再現映像も交えながら、謎解きが進んでいきました。プラトン『国家』に記されているソクラテスとグラウコンの音楽に関する対話を、近藤さんと当日聞き手を務めた池田誠さん(文学研究科・博士後期課程)の二人で再現するという楽しい試みもあり、盛り沢山な内容でした。

アポロ讃歌と別の讃歌を演奏し、日本の音楽との「符合」について考察する近藤さん
アポロ讃歌の雅楽演奏映像を会場で流しました (演奏:伶楽舎 復曲:遠藤徹於:第9回国際プラトン学会 2010年8月)
今回のファシリテーター(聞き手)は博士課程院生の池田さん。専門家の話を一般の方に、いかにわかりやすく楽しく伝えるかを近藤さんと一緒に時間をかけて準備してきました

第2部は、会場の皆さんから寄せられた質問に対して、近藤さんが回答していく対話コーナーでした。会場からの質問は、あらかじめ配付された質問カードに書いていただきました。これをテーマごとに紹介し、近藤さんが回答していきました。

寄せられた質問カードに目を通す近藤さん。近藤さんが指導する学生の杉山さんが質問を分類しました
スライドを用いて質問に回答する近藤さん

この人文学カフェのようすは近日中に北海道大学のオープンコースウェアにて公開される予定です。