文学部で学んだことは仕事で数字を扱うときに役立っています

プロフィール

藤谷 大樹さん(富士通株式会社 イノベーティブIoT事業本部 勤務)
北海道札幌市出身。札幌南高校卒業後、北大文学部に入学。文学部では日本語とコンピュータの関わりに興味をもち、言語・文学コースの言語情報学講座にて、言語情報学と日本語を中心に学ぶ。方言をテーマとした卒論を書き、2009年3月卒業。
2009年4月より富士通株式会社に入社。現在は、IoTビジネスを担当し、海外との共同事業にも携わっている。

 

北大文学部を選んだ理由

北大を選んだのは、広いキャンパスが理由です。他の大学に進学した先輩が「通っている大学は狭くて閉塞感がある。北大は広くて勉強する環境や雰囲気が整って良い」と話していたことが影響しています。 文学部を選んだ理由は、日本語とインターネットの関わりに興味があったからです。きっかけは、趣味で作っていたウェブページでした。ウェブページにはルールがあって、見出しは<h1></h1>で囲い、段落は<p></p>で囲います。私もルールを学んで実際にページを書いていたのですが、「そもそも、どの言葉をどのルールに従って囲めばよいかわからない」ことに気づき、文学部と言語情報学に興味を持ちました。

文学部ではどんな研究を

文学部に進んだきっかけは日本語とコンピュータの関わりでしたが、卒論では方言を扱いました。日本語の分解や、地域とことばの研究を見て興味が湧き、加藤先生に指導のお願いをしました。

北大文学部に行ってよかったですか

はい。北大には文系共用棟があり、文学部以外に法学部、経済学部、教育学部の講義も受けることができました。気分転換や視野を広げるのにも良かったと思います。 また北大卒業後も、出身者間で交流があるのも良いと思います。企業内や同窓会で年代を越えて話をすることがあります。本州でも大勢でジンパ(※ジンギスカンパーティーの略)をします。

在学中、大変だったことは

試験とレポートです。時間が迫っていても、内容がわからないことや、文面が思い浮かばないこともありました。今振り返ると、わからないことを周囲に積極的に相談できていなかったと思います。

卒業後→現在までの道のり

2009年4月に富士通入社。学生時代に携帯電話の販売員を経験した縁もあり、携帯電話事業の売上計画と販売推進、MVNO(無線設備を持たずに通信サービスを行う事業者)向けビジネスの立ち上げを担当しました。2015年からIoTビジネスを担当しています。 また労働組合の委員も2015年より兼務しており、情報宣伝を担当しています。

現在のお仕事の内容

協力先のフィンランドのベンチャー企業のトップとともに

人や物の情報を使った、安全管理や業務効率化のサービスに取り組んでいます。私が担当するのは位置情報を取る仕組みの立ち上げで、フィンランドのベンチャー企業と協力して進めています。 労働組合の仕事はニュースや広報紙の作成をしています。

 

大学で学んだことは今のお仕事に役に立っていますか

はい。仕事で数字を扱うときに役立っていると特に感じます。文学部のイメージとはかけ離れているかもしれませんが、数字に対して論理的なアプローチができるようになったと思います。言語を品詞に分けて論理的に見るように、数字は分解できません。しかし、言語であれば見えているはずの主語や述語などが、数字のどこに隠れているかを探すことに役立っています。

今後の目標・夢

働くことで、食い扶持を得つつ社会に利益を生み出すことがいつも掲げている目標です。しかし「IoT」の分野ではまだ達成できていません。 「Internet of things」は流行の言葉ですが、具体的な事例が少ないため、社会への利益や影響はあまり語られていません。位置情報を使った業務効率化など事例を作り、わかりやすく説明できればと考えています。

後輩のみなさんへのメッセージ

北大文学部出身者は研究者や公務員をはじめ、私のように民間の電気機器企業で働く人もいます。将来を決めている人はもちろん、決める途中の人、方針転換を考えている人、皆が学べる環境です。 知りたいことやわからないことがあれば、卒業生や大学にぜひ尋ねてみてください。何がわからないかが漠然としていても構いませんし、相手が見ず知らずの人でも構いません。きっと、北大の姿が見えてくると思います。

(2016年10月取材)