卒業論文への取り組み: Case 2

卒論テーマ「グラフィティ・アートから見るニューヨーク」

濱口 涼子 さん
歴史学・人類学コース(平成24年度卒業)

テーマを決める

村田勝幸先生が共訳された「ゲットーを捏造する―アメリカにおける都市危機の表象」とジャン=ミシェル・バスキアの画集に刺激を受けて、ニューヨークのグラフィティ・アートに取り組むことに。3年のときから4年生と一緒に卒論演習に出ていたので毎回勉強になりました。

情報を集める

4年の5月上旬に就職先が内定した後、中旬に卒論演習でテーマ選考の理由と何を明らかにしたいのか、大きな問いかけを発表しました。情報収集はニューヨーク・タイムズや英語文献の翻訳から。最初は苦戦しましたが徐々に読むスピードが上がり、「自分が欲しい情報に対して鼻が利くようになる」という村田先生の言葉が、後半になってようやく実感できるようになりました。構成ではグラフィティ・アートを描く表現者とそれを取り締まる行政双方の歩みを追ったので、執筆者である私は常に中立の立場を貫くことが大切。単なる「かわいそう論」にならないように心がけたつもりです。

書き上げる

4年の9月には現地ガイドに案内してもらい、イーストハーレムで実際に撮った画像を論文中の図として使用。最後のほうは書きたいことが増えて取捨選択に苦労しました。今思えば反省の多い仕上がりですが、私にとって卒論の執筆は自分自身を見つめ直すことができた貴重な体験。ニューヨーク行きを含めて自分の好きなものに没頭する幸せな時間を満喫できました。

指導教員からの評価
歴史文化論講座 村田勝幸 教授

「複雑かつ重層的なアメリカ史という視座から逃げずに悩んで考え抜いた痕跡と真摯な姿勢がうかがえる、ズッシリとした読み応えでした。」