卒業論文への取り組み: Case 4

卒論テーマ「近藤七郎の画業について ―北大所蔵美術品調査に基づくモノグラフ―」

野田 佳奈子 さん
哲学・文化学コース(平成24年度卒業)

テーマを決める

学部3年の時に北大に点在する美術品を調べる「北大所蔵美術品調査」が始まり、北大美術部の「黒百合会」の資料を読んでいたところ、札幌農学校出身で画家になった近藤七郎の記載を発見。なぜ画家になったのか、どんな作品を残したかが気になり、調べることに決めました。

情報を集める

実地調査は北大の固定資産台帳を調べることからスタート。近藤の作品が農学部に所蔵されていることがわかり、作品の実物を確認しました。同時に、黒百合会の記念誌や大学文書館にある農学部卒業生の名簿、当時の公募展の出品リストや新聞記事などを調べ、北村清彦先生や文書館の方、近藤七郎の三男である近藤等氏にも協力していただきながら、その画業と足跡を明らかにしていきました。これまで誰も調べてこなかった近藤七郎について一から調べるやりがいはありましたが、単なる情報の羅列にならないよう、得た情報を解釈し、まとめていくことに苦労しました。

書き上げる

自分なりの視点で研究対象をとらえ、2万字もの文章で表現するのは人生で初めてで、何度も挫けそうになりましたが、多くの時間を費やして研究対象と向き合えたことや、それを支えてくださる先生方や先輩、同期、後輩がいる環境に身を置けたことは、今振り返っても幸せなことだと思っています。これから卒業論文に挑む皆さんも、取り組んでよかったと思える研究対象と出合えるよう、自分の興味・関心と向き合ってみてください。

指導教員からの評価
芸術学講座 北村 清彦 教授

「丹念な調査で近藤七郎という全く無名の画家の存在を明らかにしました。その研究は学芸員の職に就いた今、更なる発展が期待されます。」