第9回 北大人文学カフェ

なぜダイエット明日からなのか
心の言い訳を解き明かす行動神経経済学

人間の行動は、よく理解できないことがあります。「少し我慢すれば、もっと得をするのに」とか「イヤなことを先のばしにすると、本当は損してしまうのに」と頭ではわかっていながら、なかなか自分の行動を制御できません。

「1週間後にチョコレートを2つもらうより、いまチョコレートを1つもらったほうがいい!」「5年後の10万円より、いますぐの5万円の方が大事」。こんなふうに、目先の利益に惹きつけられてしまうことはありませんか?

「ダイエットは明日から」。イヤなことを先のばしにすると、嫌悪感が減ったりもします。

得や損の大きさが、時間によって違って感じられる。これは、不合理な意思決定をしてしまう人間にとって、じつはふつうのことで、利得や損失の《時間割引》とよばれています。

今回の話し手の高橋泰城さんは、行動経済学と神経生物学の手法を組み合わせた神経経済学という分野の研究を行っています。人間の心理や、脳やホルモンによる神経過程が、人間の経済行動とどのようにかかわっているのか。こうしたことを明らかにしようとする専門分野です。《時間割引》は、その大きな研究テーマになっています。

時間の流れの中で、人間はどういうふうに意思決定を行うのか。忍耐強く自己を制御したり、あるいは衝動的な選択をしてしまったりするのはなぜか。不思議な人間の行動を解明することは、社会のいろいろな問題を解決することにも応用できるかもしれません。高橋さんといっしょに、神経経済学の観点から、人間の行動にアプローチしてみましょう。


イベント開催日
2012年11月03日
会場
紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデン
話し手
高橋 泰城(たかはし たいき)
北海道大学大学院文学研究院科 行動システム科学講座 准教授

プロフィール

※プロフィールは人文学カフェ開催当時のものです。

北大オープンコースウェアにて視聴