【学芸リカプロ】「企画展スキル(2)案段階から始める事業評価」10/29 由理氏の講義レポート

⽴案段階から始める事業評価
講師:源 由理⼦氏(明治⼤学 専⾨職⼤学院 ガバナンス研究科 教授)

峰岸 雅俊

今回の講義は、明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授の源 由理子氏から「立案段階からはじめる評価~継続的な改善と変革のための評価の理論と実践~」というテーマでお話しいただきました。

前半は、プログラム評価の理論と方法について講義が進められ、評価は「総括的評価(結果の評価)」と「形成的評価(過程の評価)」に分けることができるが、立案段階における評価は「形成的評価」が中心になるとの解説がありました。

後半は、美術館の教育普及プログラムを事例として、ロジックモデルを検討する演習が行われましたが、学芸員や学芸員を目指す学生など、知見や立場に共通点が多いメンバーであっても、様々な考え方が示され、一つのロジックモデルをまとめ上げることの難しさを実感しました。

源氏によれば、知見や立場が異なる関係者が「対話」によって、問題を共有し、関係性を構築することは、創発的なアイデアや適切な指標・目標値の設定につながり、関係者による継続的な評価が可能になるとのことです。

また、今後の評価は、評価する側と評価される側に分かれるのではなく、評価の主体が関係者になることから、関係者による継続的な評価を支援する人材、評価ファシリテーターが必要になるとのことでした。

今回の講義を通じて、学芸員に求められるスキルは、具体的な立案に関するものだけではなく、関係者の合意形成や相互理解を促すためのファシリテーションスキルや、立案・評価に必要なデータを的確に収集するための統計的な手法など、多岐にわたることを再認識することができました。

〈後半のロジックモデル演習のようす〉