〈Hokkaidoサマーインスティテュート2017〉 Transcendence of the Good/ 善の超越性が開催されました

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8月2~4日、7~8日の5日間、Hokkaido Summer Institute 2017 / 北海道サマーインスティテュート2017開講科目のひとつ、Transcendence of the Good/善の超越性が開催されました。

この科目は、近現代の西洋哲学と近代日本哲学との比較から、哲学・倫理学にとって中心的な概念である「善」と「悪」について、理解を深めることを目的として開講されました。

5日間の日程のうち、まず、初めの2日間の講義で、ルーヴァン大学のド・ウォレン先生が、E.レヴィナスとJ.デリダを取り上げ、ヨーロッパの哲学者による「善」「悪」概念や関連する議論について解説しました。そしてその後、香港中文大学の張先生、本研究科・倫理学講座の田口先生が、近代日本哲学における「善」「悪」概念について、西田 幾多郎、田辺 元らの思想について取り上げました。それぞれの講義の後には、ディスカッションの時間が設けられ、参加者たちは講義内容について講師らに質問したり、自身の「善」「悪」概念についての考えを議論し合いました。このアクティブラーニングを通じて、参加者たちは、テーマについてさらに理解を深め、自身の考えを発展させることができました。

ファカルティハウス「エンレイソウ」第2会議室にて。
ニコラス・ド・ウォレン先生(ルーヴァン大学/ベルギー・教授)
張 政遠(CHEUNG, Chin-yuen)先生(香港中文大学・講師)
田口茂先生(北海道大学大学院文学研究科・倫理学講座・准教授)
講義を熱心に聞き入る受講生たち

さらに最終日は、受講生たちのプレゼンテーションの時間にあてられました。受講生らは2名ほどのグループに分かれ、それぞれが選んだテーマについてスライドを使ったプレゼンテーションを行いました。世界の第一線で活躍する講師陣を前にしての英語でのプレゼンテーションは、受講生たちとってとても貴重な体験となりました。講師や他の参加者からの質問にもスムーズに対応し、5日間の受講の成果が発揮されました。

プレゼンテーションの内容について講師から質問を受ける
プレゼンテーションの様子
プレゼンテーション後のディスカッション

難しいテーマを集中講義形式で取り組む中身の濃い5日間ですが、終わった後には参加者たちの達成感と自信に溢れた笑顔がありました。昨年度から近代哲学における西洋と東洋の比較という観点から実施されているこの科目の来年度のテーマは、「自己(Self)」。これまでの2回のテーマと同様、哲学者たちが取り組んできた哲学的問いへの理解を深めると同時に、私たちが生きるこの社会の中にある問いの理解をも深めることを目指します。