「プラス1ピース読書会 Vol. 5」開催されました

6月17日(金)、「書香の森」にて第5回「プラス1ピースの読書会」が開催されました。今回取り上げたのは、田口 茂先生(倫理学講座)の『現象学という思考──〈自明なもの〉の知へ』です。

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田口先生は、現象学的思考によって暴かれる謎について、書香の森に置いてあるイスや、コンビニ店員との関係など、日常の例を使って説明されました。特に「類型」の説明では、著書の中でも説明のある岡本 太郎氏の作品「坐ることを拒否する椅子」を例に、イスであるのに座ることを拒否するイスが目の前にあって始めて、「イス」という類型的な(型にはまった)ものの見方が自分のなかにあることに気づくという認識のあり方を説明されました。そして最後に、他人と自分との関係については、「類型」からはずれ、自分の中に閉じこもった反省的思考のモードから脱したときにはじめて、他者と真に出会えるのではないかとされました。

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今回のプラス1ピースのテーマは、武田 鉄矢さん。自身のラジオ番組「武田 鉄矢・今朝の3枚おろし」(文化放送)で、田口先生の著書を2週間にわたって取り上げられたことについて、田口先生は、武田さんが自著を取り上げてくれたことはいずれにしてもありがたいとのこと。また、「ハリウッドのゴジラよりも円谷プロのゴジラのほうがリアルに見えるのはなぜか」という武田さんによる現象学的解釈については、かなり鋭いとコメントされました。田口先生いわく、私たちは想像力を働かせる余地があるときに、より豊かで生き生きした経験をもつのだろう、それはおそらく小説をもとにした映画を見るよりも、原作を読んだほうがリアリティを感じる人がいるのと同じだろう、と補足していただきました。

「現象学」という一見難しそうな思考方法は、実は私たちの日常的なものの見方に違った色合いを加え、新しい世界を広げてくれる思考方法であることを教えていただきました。