書香の森の企画展示を更新しました。この展示は、日本史学研究室による企画で、古文書が歴史資料として研究に活用されるまでの過程を紹介するもので、二部構成となっています。第一部「松前古文書調査の部」では、日本史学研究室が、昨年に引き続き、2024年12月23日から26日 にかけて松前町で行った古文書調査の模様を紹介しています。第二部「鈴木家文書の部」では、日本史学研究室所蔵の仙台藩片倉家中鈴木家文書について紹介します。第一部を手がかりにして、第二部の鈴木家文書の内容について、みなさんと一緒に考えてみましょう。
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第1部 松前古文書調査(背面展示ケース)
松前古文書調査は、新型コロナウイルス感染症の影響で中断した後、2023年に復活し、2024年に継続して実施されました。調査対象は、北海道松前郡松前町保管の佐々木千恵家文書(以下佐々木家文書)です。札幌からは貸切バスで6時間と長い旅路でした。佐々木家文書は、江戸時代に松前城下七社の一つであった神明社(馬形社)の神主を世襲し、また神職代表の一人として松前藩との間を取り持った佐々木家に伝わった文書です。
第2部 鈴木家文書(中央展示ケース)
「鈴木家文書」は、仙台藩伊達家家臣片倉家のそのまた家臣である鈴木家に伝わった文書です。鈴木家の仕えた片倉小十郎家は、陸奥国白石城主(現宮城県白石市)として1万8千石を領していました。明治2年(1869)、領知を減らされた上で、北海道胆振国幌別郡(現登別市)を拝領し、翌年移住しました。家臣の多くは明治4年(1871)に石狩国札幌郡白石村(札幌市白石区)、翌5年に同上手稲村(現札幌市手稲区・西区)へ移りました。鈴木家は明治9年(1876)に上手稲村へ入植しています。鈴木家に伝わった17世紀から20世紀の武家文書群104点を北海道大学日本史学研究室が譲り受けました。本展示では、文書の内容だけでなく、「物」としての文書が旅をした過程にも着目してみました。