【研究成果】謎の鹿マゲシカ正体に DNA データ迫る
亜種ヤクシカ同時期に分岐した独自系統であることが判明

福島大学の兼子伸吾准教授を中心とした福島大学、森林総合研究所、北海道大学、合同会社エゾリンクからなる 共同研究グループは、馬毛島と種子島に生息するとされてきたマゲシカの系統的独自性を遺伝解析データから再検討しました。その結果、マゲシカはヤクシカともキュウシュウジカとも異なる遺伝的なグループであることが明らかとなりました。さらに、馬毛島と種子島に生息するマゲシカは、ヤクシカと共通の祖先をもち、ヤクシカと同等の進化的時間をかけて成立した独自の系統であることが示されました。

文学研究院からは、立澤史郎特任助教がこの研究に携わっています。馬毛島は現在開発のため入島できませんが、立澤特任助教はそれ以前に無人島であった馬毛島に通い、貴重なマゲシカのDNAサンプルを採取し、その系統的および保全上の意義を考察しました。

この研究成果は日本生態学会の学会誌『保全生態学研究』に掲載されました。

  • マゲシカCervus nippon mageshimaeの遺伝的独自性についての再検討
    兼子 伸吾, 亘 悠哉, 高木 俊人, 寺田 千里, 立澤 史郎, 永田 純子
    https://doi.org/10.18960/hozen.2302
マゲシカの母子群(馬毛島にて立澤特任助教撮影)