〈Hokkaido Summer Institute 2022〉「侵略的外来種管理学総論2022」開催されました

8月8日~12日の5日間、Hokkaido Summer Institute 2022 / Hokkaidoサマー・インスティテュート2022開講科目のひとつ、Regional Sciences (Lecture) : General Theory of Invasive Alien Species Management 2022/ 地域科学特殊講義:侵略的外来種管理学総論2022が開講されました。

海外招へい講師のブルース・ワーバートン先生(ランドケアリサーチ研究所・ニュージーランド)

本科目の講師は2017年、2018年、2019年(2020年はコロナ禍のため中止しました)、2021年にお招きしたPhil COWAN先生の後継講師として引き続きニュージーランドのLandcare Research (Wildlife Ecology & Management)/ランドケアリサーチ研究所で最先端の研究をしている研究者をお招きしました。今年、Phil COWAN先生に代わって講義を担当したのはBruce WARBURTON先生です。両先生が所属するランドケアリサーチ研究所は、ニュージーランド政府が設立した、土壌・生物多様性をテーマとして扱う第1級の研究所です。この研究所で、Bruce先生は長年、ニュージーランドの外来種管理対策にかかわる研究とその対策の実践に携わってこられました。授業では、Bruce先生が実際に携わった様々な実践について豊富な画像やエピソードとともに学びました。

(熱心に授業を聞く学生)

本科目は、世界規模で緊急に取り組むべき課題のひとつである侵略的外来種(IAS: Invasive Alien Species)管理について基礎となる知見と技術を学び、同分野では最先端のニュージーランドにおける外来種問題に取り組む枠組みや日本の現状についての知識を修得する機会を得ることを目指した大学院生向けの内容となっています。大学院生向けの開講は今年が4回目です。

昨年度はコロナ禍の影響で講師の先生はニュージーランドのご自宅から時差3時間の中、オンラインで講義を担当しましたが、今年は南半球のため冬のニュージーランドから直行便がない中、何度も乗継をしてはるばる札幌まで来ていただくことができました。ニュージーランドでの先端技術や実践例について事前に準備されたたくさんのスライドとともに授業が行われました。講義中はもちろん、休み時間中でも学生は気軽に講師のBruce先生に質問をしたり、ニュージーランドについて話をすることができ、対面授業ならではの充実した時間となったようです。

5日間にわたる集中講義では、ニュージーランドでの最先端事例だけではなく、特に池田先生の研究対象である日本のアライグマ問題などを含めた多様な事例を豊富な画像やデータとともに学びました。また、海外の学生からはニュージーランドや日本とはまた異なる現地特有の問題について話を聞くことができました。講義では、何をもってその外来種を”pest”とみなすのか、管理や駆除対象であると規定するのか、について何度も取り上げられました。同じ外来種であっても、それが問題視されるのは人間側の問題であって共生する動物や植物にとっては害ではない例や、植生や在来種・固有種にとっては害となる場合も人間側の都合で駆除されていない例についても具体的な事例が紹介されました。

文学院以外の学生も履修した本科目では、通常の授業ではなかなかか機会がない海外や異なる専門分野の学生と交流しながら英語で講義を受けることができ、学生にとっては貴重な経験になったようです。

侵略的外来種管理学についての最新の情報と対策施行について最前線で活躍する研究者から直接学べる本科目は、次年度も引き続きニュージーランドのランドケアリサーチ研究所からBruce WARBURTON先生を講師として招きし、開講する予定です。