8回北大人文学カフェ「近松、最後の一筆」開催されました

6月16日(土)、紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデンにて、第8回北大人文学カフェが開催されました。今回は、「近松、最後の一筆」と題して、話し手の冨田康之さん(文学研究科、日本文化論講座)が、近松門左衛門が死の直前に書き遺した「近松画像辞世文」を題材に、会場の皆さんと語り合いました。

当日は、約100名の方にご来場いただきました。冨田さんのよく通る声と流麗な語り口に、会場の皆さんは心地よく引き込まれ、会場全体が一体感のあるカフェとなりました。

第1部は、話し手のトークを中心に進行しました。近松の辞世文にこめられた思いは、己の人生への心情吐露なのか、それとも芸術家近松として匠が凝らされた「作品」であるのか。近世演劇研究者として、冨田さんの読み解きが行われました。

当時の出版状況を示す貴重な版木や、浄瑠璃本の紹介もありました。休憩時間には、大勢の来場者が、興味深げに資料を手に取って見ていました。冨田さんの研究室の大学院生が、来場者の質問に対応して資料の説明をしていました。

第2部は、会場の皆さんから寄せられた質問に対して、冨田さんが回答していく対話コーナーでした。会場からの質問は、あらかじめ配付された質問カードに書いていただきました。これをテーマごとに紹介し、冨田さんが回答していきました。

会場からの熱心な質問に、冨田さんも身ぶりを交えて答えます

会場からいただいた参加者アンケートの中から、感想の一部を以下に紹介します。

  • 「画像辞世文」というものの存在を知り、それを読み取る面白さを知ることができました。
  • 先生の歯切れよい語り口、機を捉えた司会の進め方もよかった。難しい「近松」文の解釈がとても楽しかった。「質問タイム」もとても楽しかった。「近松」さんが又少し親しめました。
  • 推理小説の名探偵の謎解きのようでした。その語りとも相まって、「謎は解けた」という高揚感を味わえました。

この人文学カフェのようすは近日中に北海道大学のオープンコースウェアにて公開される予定です。