8月5日〜8日の4日間、Hokkaido Summer Institute (HSI) 2019 / 北海道サマーインスティテュート2019 開講科目のひとつ、Sociology of Language, Language and Wellbeing in Japan 2019(社会言語学:日本における言語とウェルビーイング2019)が開催されました。

このプログラムは、ヴェネツィア大学より日本の言語に詳しい社会言語学のトップランナーであるパトリック・ハインリッヒ先生をお招きして、文学研究院社会学研究室のホメリヒ・カローラ先生と協働しておこなう集中講義で、今年で開講4年目になります。

授業では、言語の問題と相互に関連する社会現象について取り扱いました。日本の近代化における言語の役割に焦点をあて、豊富な事例を用いた講義と、トピックごとに行われるディスカッションを織り交ぜて授業が行われました。取り上げたトピックは、日本の近代化とともに変遷してきた言語、国語政策、言語の多様化、標準語と方言、国際化・多文化共生による変化、アイヌ語、琉球語、言語と経済の問題、言語景観など多岐にわたりました。

講義は、身近な事例をたくさん取り上げて、時折ジョークも交えて行われ、教室はとてもリラックスした雰囲気となりました。トピックの区切りごとに行われるディスカッションは、多くの受講生が積極的に発言し、とても活発なものとなりました。受講生の国籍は、日本、中国、韓国、インドネシア、タイ、イギリス、イタリア、ドイツなど多岐にわたり、ひとつの事例について、受講生が自国の文化や社会背景とそれに基づく言語の使われ方について紹介することで、非常にグローバルで内容の濃い授業となりました。
3日目の午後は、「言語景観(Linguistic landscape)」をテーマに、札幌駅に事例収集に行きました。札幌駅周辺にある看板、広告、地図などの中から、他言語・多言語表記されている例を集め、その特徴や目的を考える演習です。
翌日、各自が収集した言語景観の例とそれについて考えたことを発表し、発表内容についてディスカッションを行いました。それぞれの事例について、ハインリッヒ先生が社会言語学的見地からコメントし、学生達の理解を深めました。
今回参加した受講生からは、「マルチリンガルな授業環境がよかった」「先生やクラスメイトとトピックごとに多くのディスカッションができてよかった」「母語が異なるさまざまな国籍の受講生と一緒にアイデアや経験を共有できたことは貴重な経験」「先生がとてもフレンドリーかつ熱心で、受講生の国籍やバックグラウンドを理解した上で、各自が発言しやすいように話題を向けてくれた」「札幌駅での事例収集が楽しかった」など、多くの高評価のコメントが寄せられました。